バッハ,J.S. Bach,J.S.

■2台のチェンバロのための協奏曲ハ短調BWV.1060(ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ハ短調BWV.1060R)
Konzert fur 2 Cembali und Streicher c-Moll BWV1060

この曲は「2台のチェンバロのための協奏曲」または「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」として知られています。自筆譜がないため詳細は不明なのですが,バッハがケーテンで活躍していた時代に名オーボエ奏者と出会い,この編成で作曲されたと考えられています。深みのある緩徐楽章をはじめとして,バッハの数ある協奏曲の中でももっとも円熟した作品の一つといわれています。

第1楽章
リトルネッロ形式。冒頭に決然とした感じの印象的な主題が出てきます。その主題を合いの手を入れるような感じで独奏楽器が受けます。その後,このリトルネッロ主題と対照的なメロディアスなフレーズがチェンバロに出てきます。

この楽章は,トゥッティとソロが緊密に結び付けられています。2台のチェンバロが「つかず離れず」という感じで絡み合うのも特徴です。最後にリトルネッロ主題が再現して楽章は終わります。全体的に生き生きとしながらも端正な雰囲気を醸し出している楽章となっています。

第2楽章
アダージョ。弦のピツィカートに支えられて,2台のチェンバロが優美なカンタービレを聞かせます。途中,対位法的な展開や2つの楽器の対話などを聴くことができます。不完全休止のまま,第3楽章に移っていきます。

第3楽章
アレグロ。リトルネッロ形式。冒頭の生き生きした主題が楽章全体の気分を作っています。ソロの部分では,弦楽器と対照的なチェンバロの細かい動きを楽しむことができます。最後にリトルネッロ主題が再現して全曲は結ばれます。(2004/10/19)