バッハ,J.S. Bach,J.S.

■管弦楽組曲第2番ロ短調,BWV.1067

バッハが作った管弦楽組曲(現存するのは4曲)の中で,もっとも有名な曲です。フルートが独奏楽器のように活躍し,フルート協奏曲的な雰囲気のある曲です。後半の舞曲が続く部分は,親しみやすい旋律の曲が多く(特に最後のバディネリ),バッハの曲の中でも特に親しまれている名曲です。

第1曲 フランス風序曲。全曲の半分近くある長大な楽章です。まず付点リズムとトリラーが特徴的なグラーヴェで始まります。中間部はアレグロになりフルート独奏が入るフーガになります。その後,再度,最初のグラーヴェが再現します。

第2曲 序曲に続いて舞曲が続きます。最初はガヴォット風のロンドです。哀愁のあるメロディがリトルネッロ(反復楽句)として何度も出てきます。

第3曲 サラバンド。ゆったりとした荘重な舞曲です。フルートと第1ヴァイオリンがユニゾンでメロディを演奏し,カノン風に展開していきます。

第4曲 ブレー。フランス中央部のオーヴェルニュ地方起源の舞曲で,歯切れの良い4拍子です。2つのブレーから成っています。第1ブレーは,全楽器のトゥッティで演奏され,第2ブレーはフルートが軽やかなソロを聞かせます。再度第1ブレーが戻ってきて終わります。

第5曲 ポロネーズ。ポーランドの宮廷で流行した舞曲。2つのポロネーズから成っていますが,第2ポロネーズは第1ポロネーズの変奏(ドゥーブル)に成っているのが特徴です。第1ポロネーズの美しい主旋律が,第2ポロネーズでは通奏低音に現れるのが面白い点です。その上で華麗に動くフルートも聴きものです。最後に第1ポロネーズが再現して終わります。

第6曲 メヌエット。フルート奏者は中休みとなる,のどかな感じの曲です。

第7曲 バディネリ。全曲中いちばん特徴的な楽章です。バディネリというのは舞曲名ではなく,「冗談」という意味です,こういう曲を最後に置いた辺り,バッハにも意外に洒落っ気があるようです。弦楽器のスタッカートの伴奏の上に,フルートが軽やかに動き回ります。フルート奏者の腕の見せ場となる素晴らしいフィナーレです。。(2002/07/11)