ボロディン Borodin
■交響詩「中央アジアの草原にて」
この曲は,ロシア5人組の中の1人,ボロディンの代表作です。アレクサンドル2世の即位25周年祝賀行事のために作られたものです。いわゆる描写音楽というジャンルに属します。ロシア語のタイトルは音画「中央アジアにて」というものですが,西欧での演奏のために訳された時に「草原」という語が加えられました。まさに,音による絵のような曲です。中央アジアの草原を行く隊商の姿を鮮やかにエキゾチックに描いています。

ヴァイオリンの高音の弱音の持続音の上に,ノスタルジックなメロディがクラリネットの弱音で演奏されて曲は始まります(「のどかなロシアの歌」)。続いてエキゾティックなメロディがイングリッシュ・ホルンに出てきます(「東方の調べ」)。トボトボと歩いているような感じが続きますが,「のどかなロシアの歌」がメロディがフォルテで決然と演奏され,隊商がだんだん近づいて来る雰囲気を出します。これまで出てきたメロディがあれこれ美しく絡み合って演奏された後,再度音量が弱まっていき,冒頭と同じような雰囲気になって静かに曲を閉じます。管楽器を中心として,親しみやすいソロが次々と出てきて,絡み合うあたりが聞きどころになるでしょう。(2002/4/2)