ショパン Chopin

■アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調op.22
ショパンは2曲のピアノ協奏曲以外に数曲,オーケストラとピアノのための協奏的作品を書いています。いずれも若い時に作曲した作品です。この「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」という長いタイトルを持つ作品は,そういう協奏的作品の最後のものです。この曲以後,ショパンはピアノ独奏曲の作曲に集中することになります。

ただし,この曲にしても,管弦楽部分がピアノの単なる背景になっているようなところが多く,ピアノ・パートだけの独奏曲として演奏されることの方が多いようです。

曲は文字通り,「アンダンテ・スピアナート」のゆったりした部分と「華麗なる大ポロネーズ」の活力のある部分からなっています。前半のノクターンを思わせる優雅さと後半のポーランド風の味を持つ,きらびやかさとの対比が楽しめる作品です。華やかな雰囲気とあいまって,ショパンのポロネーズの中でもよく演奏される曲となっています。

曲は6/8拍子の「アンダンテ・スピアナート」で始まります。この部分は3部形式でできています。「アンダンテ」は「歩くような速さで」,「スピアナート」は「滑らかに落ち着いて」という意味ということで,分散和音を中心とした序奏の後,静かな湖面を滑って行くような優雅な第1主題が出てきます。中間部はちょっと動きのあるメロディが出てきます。再度,最初の部分が戻って来た後,「ポロネーズ」に移って行きます。

管弦楽版では,ここで初めてオーケストラが登場します(5分近く待ってないといけません)。ホルンによるファンファーレの後,力強いポロネーズのリズムに乗って,華麗な技巧を盛り込んだ主題が出てきます。装飾的な音符がどんどん増えていき,ますます華麗に展開していきます。途中,ハ短調の部分になりちょっと翳りのある印象的な主題が出てきます。その後,最初の主題が戻ってきます。最後は,大規模なコーダとなります。技巧をみせつけるように音が上下に動き,これでもかこれでもか,という具合のきらびやかさで全曲が結ばれます。(2003/12/03)