ショパン Chopin

■ピアノ協奏曲第2番ホ短調,op.11

ショパンは,「ピアノの詩人」と呼ばれていますが,ピアノ協奏曲は2曲しか書いていません。しかも,その2曲ともショパンがポーランドから亡命する前のかなり若い頃に作られています。ショパンのピアノ協奏曲では第1番の方が有名ですが,実は,この2番の方が先に作曲されています(出版順が逆になり第2番になっています)。後に作られた分,1番の方が完成度が高いとも言えるのですが,その分,この第2番にはより初々しい気分が溢れています。

この曲は,ショパンの初恋の女性コンスタンツィア・クワドコフスカのイメージから霊感を受けて作曲されたと言われていますが,曲は,パリのデルフィーヌ・ポトツカ伯爵夫人に献呈されています。この辺は何となくショパン的です。題名好きの日本では,「初恋の曲」とかタイトルが付けられたりすることがあります。

第1楽章 
第1番よりは短いのですが,暗く重い雰囲気の第1主題と木管による第2主題からなる序奏からは曲は始まります。第2主題は,ヴァイオリンに引き継がれ,その後,独奏ピアノが登場します。段々ときらびやかな感じになり激しい管弦楽の響きで提示部が終わります。展開部は第1主題を中心に展開し,ピアノが華麗に活躍します。再現部は,少し短くなっており,短いコーダが付いて終わります。

第2楽章
ショパンの初恋の女性をイメージして書かれた楽章と言われています。第1番の第2楽章と同様にオーケストラ伴奏付きノクターンといった雰囲気です。主題は非常に甘美で,繊細な装飾音がたくさん付いています。微妙に表情を変えながら延々と歌い込まれていきます。中間部ではレチタティーヴォ風の間奏が入り(その間,弦楽器がトレモロで支えます)情熱的な気分も持っています。

第3楽章
マズルカ風のリズムを持つ主題が次々と出てくる楽章です。ピアノ・ソロで第1主題が演奏された後,オーケストラが華々しく続きます。ファンファーレ風の響きで一区切り付いた後,ピアノが下降してくるパッセージを演奏します。3連音が連続する華やかなフレーズの後,弦楽器のコルレーニョの伴奏に乗って印象的な第2主題が出てきます。これもマズルカ風です。クラリネットで静かなメロディが出てきた後,第1主題が再現されます。しばらくすると,ホルンの独奏によるとても目立つ信号が演奏されます。その後,コーダになり,ピアノの3連音的な音の動きが華やかに続きます。ちょっと間があった後,再度ピアノが華やかに動き回り,最後は,ビシっと結ばれます。(2002/7/05)