コープランド Copland

■クラリネット協奏曲

コープランドがジャズ・クラリネット奏者として有名なベニー・グッドマンの依頼で書いた20世紀のクラリネット協奏曲の傑作です。グッドマンの依頼ということもあり,随所にコープランド流に解釈した,ジャズの語法が加わっているのが楽しいところです。

オーケストラの編成は,弦楽合奏にハープとピアノが加わったもので,全体としては古典的なまとまりの良さもあります。曲は2つの楽章から成っていますが,その間にクラリネットによる長大なカデンツァが入っています。全曲は続けて演奏されます。

第1楽章
ハープと弦楽合奏によるゆったりとした序奏に乗って独奏クラリネットがかなり音の高低の差のある神秘的なモノローグのようなメロディを息長く歌います。素朴さと現代性とを兼ね備えたような雰囲気があります。その間,オーケストラは一貫して透明感のある美しい響きで伴奏をしています。途中,気分が高揚したりして,この雰囲気が続いた後,オーケストラの伴奏がすっと消え,クラリネットだけによるカデンツァになります。この部分では甲高い音を含みながら次第に饒舌になっていきます。

第2楽章
カデンツァの後,ハープやピアノなどが高い音で答え,活気のあるリズミカルなムードになります。ジャズのテイストのあるノリの良さが出てきて,オーケストラとクラリネットとが対話を繰り返して言います。ピアノが調子の良いメロディを出し,オーケストラがそれに続いた後は,拍子がさらに複雑な感じに変化し,徐々にクライマックスに向かっていきます。ここで出てくる低弦の音の動きにもどこかジャズ風の味があります。オーケストラとクラリネットとが激しく掛け合いを行なった後,最後にはクラリネットが高い音域にまでぐっと音を駆け上っていきます。クラリネットがグリッサンドをして最高音になったところで全曲が終わります。(2004/04/04)