ファリャ Falla

■バレエ音楽「三角帽子」
ファリャはスペインを代表する作曲家ですが,その代表作がバレエ音楽「三角帽子」です。この曲はストラヴィンスキーの「春の祭典」などのバレエ音楽と同様,ロシア・バレエ団のディアギレフに依頼されて,丁度第1次世界大戦中に作曲されたものです。原作はスペインのアラルコンの同名の小説「三角帽子」です。初演は,舞台装置・衣装はピカソ,指揮はエルネスト・アンセルメ,振付はレオニード・マシーン,という豪華メンバーで大成功でした。

物語のあらすじは次のようなものです。悪代官が美しい粉屋の奥さんに手を出そうとするが,反対に川に落ちたりしてなかなかうまくいかない。粉屋の旦那さんの誤解もからまったり,代官と粉屋の衣装が入れ替わったりして,ドタバタするが,最後には悪代官は恥をかいて逃げ出し,粉屋夫婦も仲直りをする。三角帽子というのは,代官のかぶる帽子のことで,権力の象徴といえます。

この曲の中から主要な曲を抜粋したのが,第1組曲と第2組曲の2つの組曲です。演奏会では,組曲版が演奏されることが多いですが,レコーディングの方は,CD時代になってからは,全曲版を録音することが多くなっているようです。

●第2組曲

隣人たちの踊り
サン・ホアン(聖ヨハネ)祭の夜に近所の人たちが集まってきて踊るセギディーリア(ビゼーの「カルメン」の中にもありますね)。静かな曲ですが,とても雰囲気があります。

粉屋の踊り
粉屋が踊るファールカというアンダルシアの民族舞曲。ホルン,イングリッシュホルンによる序奏に続いて弦楽合奏で切れのよいリズムが出てきます。次第に熱気を帯び,最後の方はアッチェレランド(段々速く)で高揚していきます。この曲はギター独奏で演奏されることもよくありますが,ギターだとまさにフラメンコという感じになります。

終幕の踊り
バレエの最後に踊られる曲です。悪代官を凝らしめることができたと村人たちが喜ぶホタという舞曲です。華やかな踊りが延々と続きます。(2001/9/28)