ヘンデル Handel

■詩篇曲「主は言われた」

ヘンデルの宗教音楽といえば,何といってもオラトリオ「メサイア」が有名ですが,ラテン語による宗教音楽の分野の代表作がこの「主は言われた(Dixit Dominus)」です。作曲当時22歳だったヘンデルの若々しさとイタリア的な明るさに溢れた力強い作品です。

●編成
独唱(ソプラノI,II,アルト,テノール,バス),合唱五部,ヴァイオリン2,ヴィオラ2,通奏低音
区分 調性 内容
合唱 ト短調 主が「わが右に座すべし」とキリストに命じた言葉に基づいています。壮麗な弦の序奏に続いて,合唱が「主,いいたまえり」の言葉で入って来ます。時々,独唱を織り込みつつ進んでいきます。上声部に古い復活祭歌による定旋律が表れます。これらを素材に曲は発展し,再び,弦の壮麗な後奏で終わります。
アリア(アルト) 変ロ長調 汝の力ある杖に
アリア(第1ソプラノ) ハ短調 汝の民は。流麗な3連符に彩られた美しい曲
合唱 ト短調 主は誓いをたてて。半音階的な和声句と「御心を変えることなく」という活発なアレグロが交替
合唱 変ロ長調 汝はとこしえに祭祀たり。2つの主題を対立させたフーガ
合唱 ニ短調−ヘ長調 主は汝の右にありて。模倣的な美しい疾走の後,「審きをおこないたまわん」のフーガに。その後,「首領を打ちたわまん」の絵画的描写の後,この部分が終了する。
2人のソプラノ+男声合唱 ハ短調  彼,道のほとりの川より汲み手て飲み。アダージョ。抒情的な重唱。
合唱 ト短調 父と子と聖霊に栄えあれ。3つの主題によるフーガ。第3主題には最初の曲の定旋律が再度姿を見せる。しだいに「世々限りなく,アーメン」というリズミックなフーガへと1本化され,そのまま壮大なクライマックスに盛り上がって行く。
(参考)
最新名曲解説全集21.声楽曲I.音楽之友社,1981
(2003/07/01)