ヘンデル Handel

■オルガン協奏曲第6番変ロ長調op.4-6
ヘンデルの作ったオルガン協奏曲の中ではいちばんよく知られた曲です。典雅でひっそりとした雰囲気の漂う魅力的な曲です。この曲は,もともとはハープ協奏曲として書かれたものと言われており,その形で演奏されることもよくあります。

この曲は,もともとオラトリオ「アレクサンダーの饗宴」の第1幕に挿入するために作曲されたものです(ヘンデルの他のオルガン協奏曲も教会用ではなく劇場用に作られたものが多いようです)。ただし,ヘンデルが当時接していたオルガンは現代のパイプ・オルガンのように壮大な音のするものではなく,この曲に聞かれるようにとても可愛らしい雰囲気のあるものでした。

この曲は,ヘンデルの他のオルガン協奏曲の楽器編成とは違い,オーボエの代わりにフルート2本が入っているのが特徴です。また,第1,第2ヴァイオリンは弱音器を付けて演奏されますので,オーケストラの音量はかなり小さく抑えられています。このことは,ハープという音量の小さい楽器を引き立たせるための工夫だと考えられます。その他,ヴィヴァルディの協奏曲のように3楽章構成を取っているのも,他のオルガン協奏曲とはちょっと違った特徴です。

壮大なパイプ・オルガンのイメージとは違って,室内楽的なオルガンの響きを楽しむことのできる愛すべき曲といえます。

第1楽章 アンダンテ・アレグロ
一度聞いたら忘れられないような可愛らしく典雅な雰囲気を持った主題ではじまります。エコーの効果を出すかのように何度も繰り返し演奏されます。まず弦楽合奏で演奏された後、オルガンがそれに答えるように出てきます。その後,オルガンはこの主題を自由に即興的に扱っていきます。

第2楽章 ラルゲット 
オルガン独奏が中心となり、オーケストラの方は伴奏約に撤します。情緒豊かな短調の楽章で、下方していくように進行して行きます。3拍子で付点リズムを使っているのでサラバンドのような性格を持っています。

第3楽章 アレグロ・モデラート
メヌエットに近い典雅な気分のある二部形式の合奏です。ここでも独奏オルガンが中心でオーケストラは伴奏的な役割が多くなっています。(2003/10/28)