ハイドン Haydn
■交響曲第30番ハ長調Hob.I-30「アレルヤ」

ハイドンは少年時代にウィーンのシュテファン大聖堂の少年聖歌隊に在籍していましたが,この曲には,そういう教会音楽の影響が見られます。この曲の標題の「アレルヤ」というのは,ハイドン自身のネーミングではありませんが,第1楽章にグレゴリオ聖歌の「復活祭のアレルヤ」の旋律が使われているところからこのあだ名で呼ばれています。

作曲年代:1765年(ハイドン33歳)
楽器編成:弦楽五部,フルート1,オーボエ2,ホルン2

第1楽章
アレグロ。簡潔なソナタ形式で書かれています。祝祭的な明るい気分で曲は始まります。この部分に出てくるのが,アレルヤの旋律です。モーツァルトの有名なモテットの「アレルヤ」を思わせるような速い動きが続きます。この旋律は第2ヴァイオリンに現れ、第1ヴァイオリンが装飾的なモチーフを演奏します。アレルヤの旋律は第1楽章のところどころで現れます。再現部では,管楽器だけで明瞭に演奏されます。

第2楽章
アンダンテ。フルートがソリスティックに活躍する楽章です。はずむような軽快なメロディで始まるのですが,どこかひっそりとした落ち着きがあります。フルート以外にオーボエも活躍します。

第3楽章
メヌエットに展開部をつなげた独特の形の楽章です。ホルンを含む弦楽器がメヌエット主題を優雅に演奏します。中間部ではフルートとヴァイオリンがユニゾンでメロディを演奏し,独特の音色を作りだします。もう一つのトリオが短調で演奏された後,コーダとなって,全曲が結ばれます。(2004/01/11)