コダーイ Kodaly

■ガランタ舞曲
Dances of Galánta


この曲の中に出てくる「ガランタ」というのはウィーンからブダペストに向かう途中にある村の名前です。現在,この地域はスロヴァキアに属していますが,コダーイは幼少の頃,この付近で過ごしています。その時に聞いたジプシー楽団の音楽によって,コダーイは「オーケストラの響き」に目覚めたと言えます。

このガランタ舞曲は,ウィーンで出版されたハンガリー舞曲集の中に含まれていた「ガランタのジプシーたちの音楽」を素材として書かれたものです。ジプシー音楽によくあるように,テンポの急緩の差がはっきり付けられたものですが,旋律的には,よりハンガリー的な要素を色濃く残したものになっています。

英語名が”Dances..."と複数形になっているとおり,それぞれ異なったムードとリズムを持った7つの舞曲からなっています(ただし,続けて演奏されますので,区別はつきにくいかもしれません)。

最初,「ター,タララー」というちょっと悲しげなモチーフがチェロに出た後,ホルンが高音でこれを受けます。このモチーフがいろいろな楽器に引き継がれた後,クラリネットがこのモチーフをもとにハンガリー情緒を感じさせるメロディを演奏します。弦楽器がさらにこれを引き継いで,暗く情熱的に歌います。その後もリズムを変えながらエキゾティックなメロディを持つ舞曲が次々と登場します。

弦楽合奏で情熱的な主題が演奏された後,木管楽器群に可愛らしい感じの素朴な舞曲風の主題が出てきます。テンポの緩急が付けられるあたりが,いかにもハンガリー舞曲風です。 

その後,ワクワクさせるような新しいメロディが弦楽器に出てきてきます。ここまでは比較的ゆっくりしたテンポが主体でしたが,ここから後は速い音の動きが中心になります。金管楽器のファンファーレ風の音型を交えて,華やかに盛り上がっていきます。途中静かな部分をはさんだ後,再度テンポ・アップし,躍動するリズムの上に熱狂的な盛り上がりを見せます。一瞬休符が入り,しばらくゆっくりした部分になりますが,すぐに元の雰囲気に戻り,急転直下という感じで全曲が結ばれます。

楽器編成はそれほど大きくなく,ホルンが4本になっている以外は2管編成で演奏することができます。(2004/09/0)