ルトスワフスキ Lutoslawski
■パガニーニの主題による変奏曲

ポーランド出身の現代を代表する作曲家,ルトスワフスキの作曲した2台のピアノのための小品です。「パガニーニの主題による〜曲」というタイトルの曲はラフマニノフの作品を初めとして,数多く作られています。この曲もそれら同様、パガニーニの「カプリース」の第24番の有名なテーマに基づいて作られています。

この第24番自体,変奏曲形式で書かれていますので,このルトスワフスキの作品は,ヴァイオリン独奏版をピアノ2台用に編曲したようなところがあります。時間的にも5分ほどですので,オリジナルとほぼ同じ長さです。

曲は12の変奏曲とコーダから成っています。テーマ自体,もともと躍動的なものですが,それがさらに躍動的なものになっています。5分間の中にスリリングなスピード感と多彩な表情が十分に盛り込まれています。ただし,1941年に書かれた作品ということもあり,現代的で前衛的も気分を持っています。この曲はワルシャワのカフェで初演されたという変わった曲なのですが,そのせいか,途中,ジャズ風のリズムを感じさせる部分もあります。

彼のピアノ曲の中でもっともよく知られている作品で,2台のピアノのためのレパートリーとしてもすっかり定着しています。

なお,ルトスワフスキは同名のタイトルの変奏曲をもう一曲作っています。こちらの方はピアノとオーケストラのための作品です。(2005/07/15)