マスカーニ Mascagni
■歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」
イタリア・オペラの中には,ヴェリズモ・オペラと呼ばれるジャンルがあります。身近な出来事に題材をとった現実主義的で演劇的なオペラを指すのですが,その代表作がこの「カヴァレリア・ルスティカーナ」です。

19世紀末のシチリアの小さな村を舞台として愛憎の悲劇が繰り広げられます。シチリアといえばマフィアですが,映画「ゴッド・ファーザー」part3の中には,このオペラを見に行くシーンがあります。映画の中の殺人とオペラの中の殺人とがシンクロする見事な設定でした。

このオペラの題名を直訳すると「田舎の騎士道」ということになるのですが,響きが良いせいか,日本でも昔から「カヴァレリア...」というカタカナ書きで通っています。休憩なしの1幕で上演される短いオペラですので,同様に1幕のヴェリズモ・オペラであるレオンカヴァッロの「道化師」と組み合わせで上演されることも多いオペラです。

■間奏曲
このオペラを離れて演奏会で単独で取り上げられることも多い名曲です。間奏曲というだけあって,オペラの中ほどに演奏されます。教会でミサが行なわれているシーンをイメージした曲です。

最初に出てくるメロディは非常に美しいものです。この曲が流れてくるだけで,誰もが「オッ」と耳を集中させてしまうような魅力を持っています。恐らく,全てのクラシック音楽の中でも一ニを争うような名旋律でしょう。敬虔な美しさの中に悲劇を暗示させるところがあるのも大きな魅力です。

しばらく静かな雰囲気が続いた後,シンプルで明るいメロディが出てきて,大きく盛り上がっていきます。この辺は,小さな教会の中のパイプオルガンの響きを想起させます。弦楽器を中心にさらに熱を持って盛り上がっていきますが,最後は再び音量を落とし,静かに結ばれます。(2003/07/02)