メンデルスゾーン Mendelssohn

■序曲「静かな海と楽しい航海」
メンデルスゾーンは,いくつか序曲を書いていますが,この「静かな海と楽しい航海」という曲は,オペラのための序曲ではなく,演奏会用に書かれた10分ほどの曲です。この曲は,ゲーテの書いた「静かな海」「楽しい航海」という2つの詩をもとに作られたもので,文字通り,この2つの部分から成っています(ちなみにベートーヴェンも同じ組み合わせでカンタータを作っています)。

前半の「海の静けさ」の部分はゆったりとしたアダージョで演奏されます。まず,幅広いメロディが弦楽器で演奏され,瞑想的な気分が続きます。

その後,テンポが速くなり,「楽しい航海」の部分になります。弱音で素早く駆け巡る第1主題とのびやかな第2主題とからなり,船が出帆するようすが描かれます。

「海の静けさ」の部分が速度を速めて再現した後,ティンパニが大らかに連打をし,コーダになります。トランペットのファンファーレなども入る印象的な部分です。船は歓喜に満ちて目的の港に到着します。ほっと一息つくように曲は結ばれます。(2003/03/01)