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メンデルスゾーン Mendelssohn
ロンド・カプリチオーソ ホ長調, op.14

メンデルスゾーンは早熟の作曲家として知られていますが,その例の一つとなるのがこのピアノ曲です。1824年,メンデルスゾーン15歳の時に書かれた作品で,メンデルスゾーン特有の優雅な華麗さが十全に発揮された魅力的な作品です。

曲はアンダンテの序奏部(ホ長調のゆっくりとした導入部,4/4)とプレストのロンド(ホ短調の速い主要部,6/8)からなっています。この構成は,メンデルスゾーン好みの配列と言われています。

序奏部は,8分音符のリズムの和音に導かれて2つの主旋律が出てきます。それぞれ偶数小節3拍目から規則的に登場する形になっており,次第に装飾を加えていきます。この部分はウェーバーの作品の影響があると言われています。

ロンドは,A-B-A-C-B-Aの形式で,Bの部分は,それぞれト長調とホ長調で,Cはホ長調で演奏されます。メンデルスゾーンお得意の「スケルツォ」を思わせる無窮動風のフレーズが続き,華麗さの中にセンチメンタルな気分も漂います。ちなみに有名な「夏の夜の夢」の序曲が書かれたのは,2年後の1826年です。それを先取りする気分があります。

ロンドの後,次第に曲は低音域で弱くなっていき,その後コーダとなって全曲が締められます。,

発表当初は,サロンの常連や貴族令嬢などアマチュア・ピアニストの人気が今一つだったと言われていますが,現在では,その爽快さと躍動感,華麗な演奏効果のため広く愛好されています。

作曲年:1824年,出版年:1833年

(参考文献)
器楽曲.下(ON BOOKS SPECIAL ; 名曲ガイド・シリーズ ; 12)音楽之友社, 1984

(2020/11/03)