モーツァルト Mozart

■モテト「踊れ,喜べ,幸いな魂よ」ヘ長調,K.165

モーツァルトの作ったオーケストラ伴奏付きの声楽曲の中では特に有名な曲です。モーツァルトが若い頃に作った作品の中でも特に有名な曲です。ラテン語の原題どおり「エクスルラーテ・ユビラーテ」と呼ばれることもあります。

この曲は,テキストの内容からすると宗教曲なのですが,音楽の方はオペラのアリアのような華やかさを持っています。3つの楽章から成っていますので,ソプラノ独唱を独奏と見たてた協奏曲のような雰囲気もあります(もともとはカストラート歌手のために書かれたものですが)。特に第3楽章「アレルヤ」が有名です(古い音楽映画「オーケストラの少女」でも印象的に使われています。映画ではディアナ・ダービンという子役が見事に歌っています)。

第1楽章 
協奏曲風ソナタ形式で書かれています。「いかにも協奏曲」という感じで元気の良く始まります。第2主題では,オーボエが心地良く響きます。続いてソプラノ独唱が登場します。ソプラノは華やかなコロラトゥーラを交えて歌います。展開部はなく,最初の部分が再現されて結ばれます。楽章の最後には,協奏曲のカデンツァのような華やかに歌い上げる見せ場が出てきます。その後,オルガンと低弦に支えられたレチタティーヴォ・セッコ(話し歌いの部分)になります。

第2楽章 
3/4のアンダンテの楽章です。第1楽章同様,簡潔な協奏曲風ソナタ形式で書かれています。歌謡的なメロディが続きます。切れ目なく3楽章に入っていきます。

第3楽章
この楽章だけで単独で歌われることもある有名な「アレルヤ」です。ロンド形式で書かれています。歌詞は「アレルヤ」だけですので,声楽は器楽的に扱われているといえます。最初に出てくるメロディはとても親しみやすいもので,楽章全体も明るく喜ばしい雰囲気に溢れています。ソプラノの技巧的な歌いまわしも存分に楽しめます。中間部でのオーボエとの掛け合いも聞き所です。(2002/11/22)