モーツァルト Mozart

■オーボエ協奏曲ハ長調,K.314
モーツァルトは,いろいろな楽器のための協奏曲を書いていますが,管楽器のための協奏曲は,他の作曲家があまり作曲していないこともあって,どの曲もその分野の主要レパートリーとなっています。このオーボエ協奏曲ですが,実は,フルート協奏曲第2番ニ長調と調性が違うだけで,ほぼ同じ曲です(ソロパートの方は,技巧的なことから違う箇所もあるようです)。オーボエ協奏曲をフルート用に編曲したものなのです。オーボエ協奏曲はハ長調,フルート協奏曲はニ長調なので,音を1音上げただけの編曲ということになります。

フルート協奏曲は,昔から知られていたのですが,オーボエ協奏曲は1920年になって初めて発見されたものです。そのため初演の様子などについては,詳しいことがわかっていないようです。

第1楽章
アレグロ・アペルトという指示がされていますが,このアペルトというのは,「はっきりと」という意味です。その言葉どおり,非常に明確な感じで曲は始まります。曲は協奏曲風ソナタ形式で出来ており,オーケストラだけの伴奏で2つの主題が演奏された後,オーボエが登場します。オーボエは主題呈示部を結ぶ音型に引き続いて,駆け上るような感じで入ってきます。それに続く第1主題はヴァイオリンが演奏し,オーボエの方は「ドー」と音を伸ばしているだけです。技巧的なパッセージが続いた後,第2主題が属調で示され,結びの音型で呈示部が終わります。展開部は短いもので,結びの音型が展開されます。再現部も型どおりです。楽章の最後にはカデンツァが入ります。

第2楽章
弦楽器を中心として荘重に始まります。続いて,オーボエによる叙情的で美しい第1主題が始まります。第2主題は第1ヴァイオリンとオーボエの掛け合いです。短い中間部が入った後,再現部になります。ただし第1主題は再現されず,第2主題だけが出てきます。カデンツァが入った後,再度荘重な音型が出て,結ばれます。

第3楽章
いきなり独奏オーボエで,はずむような第1主題が始まります。この主題はオーケストラでもすぐ繰り返されます。続いてホルンとオーボエに導かれて新しい主題が出てきます。その後に出てくる第2主題は第1主題と同じものですので,ロンド主題とも考えられます。この後が中間部になります。オーボエの華やかなパッセージが続きます。再現部では,オーボエと弦楽器が掛け合いをするように主題を演奏します。カデンツアの後,第1主題が再度登場して力強く結ばれます。なお,この第1主題は,その後,オペラ「後宮からの誘拐」の中のアリアでも使われます。(2002/4/22)