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モーツァルト Mozart
:交響曲第32番ト長調,K.318

1779年パリでの就職活動が失敗に終わり,ザルツブルクに戻った頃生に作られた3曲の交響曲の中の1曲です。編成はフルート2,オーボエ2,ファゴット2,ホルン4,トランペット,ティンパニとかなり大型ですが,3つの楽章が切れ目なく演奏されますので序曲と言っても良いような小型の交響曲です。明るく活力に満ちた響きには,後の「フィガロの結婚」を思わせるようなオペラブッファの楽しい気分が漂っています。

第1楽章 アレグロ・スピリオーソ
冒頭,オーケストラの全奏でダイナミックな動きを持った第1主題が力強く呈示されます。第2主題の方は対象的に,第1ヴァイオリンによるスタッカート音型が弱音で演奏される軽快なものです。その後,ppからffへとクレッシェンドして行き,冒頭の音型が出てきたところで呈示部が終わります。

展開部では,第2ヴァイオリンとヴィオラの8分音符の刻みの上に第1ヴァイオリンが新しいメロディを出して始まりますが,「フィガロの結婚」を思わせるような管楽器による行進曲調のリズムにさえぎられます。その後,第1主題の音型が短調で出てきて,激しく盛り上がります。その後,再現部にはならず,フェルマータで閉じられて,第2楽章へと続いていきます。

第2楽章 アンダンテ
テンポが遅くなり,拍子も3/8に変わります。この楽章では,第1ヴァイオリンによってゆったりと歌われる第1主題とオーボエとホルンが上下する音型を演奏する第2主題とが交互に出てきます。ただし,第2主題の方は最後にちょっと顔を出すだけなので,ゆったりとした第1主題が中心です。この楽章も切れ目なく,次の楽章に続きます。

第3楽章 
この楽章は第1楽章の再現部のような位置づけになります。第1楽章のテンポに戻り,弦のトレモロによって,fとpが激しく交代するメロディが演奏されます。続いて,第1楽章の第2主題が主調で現れます。第1楽章後半でのppからffへの盛り上がりが,再現され,第1楽章の第1主題が再現されて,華やかな気分で全曲が結ばれます。(2006/06/29)