オッフェンバック Offenbach

■喜歌劇「天国と地獄」
ウィーンのスッペと並んでフランスのオペレッタ王と呼ばれたオッフェンバックの代表作です。この曲の原題は「地獄のオルフェ(Orphee aux Enfers)」というもので,その名の通り,有名なギリシャ神話「オルフェウスとエウリディーチェ」のパロディとなっています。

序曲
全曲の中では,そのエッセンスが詰められたようなこの序曲がいちばん有名です。曲はいくつかの部分からなっています。

最初は元気よく活気のある雰囲気で始まります。短調の雰囲気もありますが,どことなくとぼけた感じもします。しばらくするとクラリネットの独奏が出てきて,落ち着いた気分になります。その後,ざわめくような弦楽器の伴奏の上にチェロがロマンティックなメロディを演奏する静かな部分になります。他の楽器に受け継がれて,この部分が続きます。

急に嵐が巻き起こったように,気分が暗転します。そこに格好良く,コンサート・マスターによるヴァイオリン・ソロが入ってきます。豊かな表情を持って演奏されるこのメロディも有名です。この独奏ヴァイオリンはかなり長く続きます。ヨハン・シュトラウスのワルツを思い出させるような甘く粋な気分があります。このワルツ風の部分がオーケストラ全体で演奏されて盛り上がって行きます。その後,一息ついて,有名なフィナーレになります。

フィナーレの部分はこの曲中もっとも華やかです。パリ名物「フレンチカンカン」の音楽としても有名ですが,日本では運動会のBGMとしてもよく使われます(その他,金沢では流れていませんがお菓子のCMにも使われているようです)。オッフェンバックのメロディを集めて作られた「パリの喜び」というバレエ音楽でもこの部分は引用されています。

まず,ちょっととぼけた感じで弦楽器とフルートの掛け合いが始まり,テンポがどんどん速くなっていきます。軽妙なリズムが続いた後,急に金管楽器が下降するとぼけたような音型を吹きます。これを繰り返しているうちに,さらにノリが良くなってきて,有名な「カンカン」の部分になります。活気のあるリズムの上にトロンボーンなどが気持ち良く伸びやかなメロディを演奏します。再度軽妙な部分になった後,「カンカン」のメロディがさらにパワーアップして大きな盛り上がりを作ります。コーダの部分では,強烈なリズムが炸裂し,華やかに全曲を結びます。(2003/06/07)