パガニーニ Paganini

■ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調,op.7「ラ・カンパネラ」

この曲は,パガニーニのヴァイオリン協奏曲の中では,第1番に続いて有名な曲です。この曲には「ラ・カンパネラ」(鐘)というタイトルが付いていますが,これは第3楽章の主題に基づいています。この楽章は,聞けばすぐにわかるとおり,リストがピアノ曲に編曲して大変有名になったものです。ただし,原曲の方は第1番に比べると生で演奏される機会は少ないようです。

パガニーニの人生については,いろいろ謎に包まれた点が多く,この曲の作曲時の経緯についても詳細はよくわかっていないようです。曲の雰囲気としては,第1番と似ていますが,一回り小振りな感じです。

第1楽章
協奏的ソナタ形式です。オペラのアリアの序奏を思わせるようなオーケストラの序奏に続いて,ソロ・ヴァイオリンが登場します。その登場の雰囲気もオペラのアリアそのものです。第2主題はロッシーニの歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲の序奏部の旋律によく似ています。ソロ・ヴァイオリンの方には,いろいろと華やかな技巧が入りますが,オーケストラの方は,ほとんど伴奏に徹している感じです。楽章の最後にカデンツァが入ります。

第2楽章
美しい旋律の背景に悲劇をはらんでいるような楽章です。この楽章は,当時のイタリアの名優ジュゼッペ・デ・マリーニの演じるドラマの一場面を音楽化したものとも言われています。楽章の最後に二重フラジオレットのエコーが出てくるのも大きな聴き所となっています。

第3楽章
先に書いたように「ラ・カンパネラ」のメロディが出てくる楽章です。この飛び跳ねるような魅力的な主題がロンド主題として何度も登場してきます。ヴァイオリンのフラジオレットによる鐘の模倣とオーケストラ中のグロッケンシュピールとの掛け合いが聴き所です。ソロ・ヴァイオリンの方には重音やフラジオレットなどパガニーニの編み出した華麗な技が続出します。リストが刺激を受けたのも納得できるような楽章となっています。(2002/05/04)