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ピアソラ Piazzolla
■ロコへのバラード Balada para un loco

ピアソラの名前が一般の人にも知られるようになったのは,この曲の作曲者としてでした。詩人オラシオ・フェレールとの「ブエノスアイレスのマリア」の共同制作によって精神的に高揚はしていても,経済的にはどん底だった時期に,賞金稼ぎのために,このコンビで作った歌詞付きの作品です。

頭にメロンの半分を被り,肌にじかにシャツの縞を描いているロコという頭のおかしな男を歌った曲で,現代人には愛の狂喜が必要なのだと絶叫します。

1969年,ブエノスアイレス市主催のフェスティバルでこの曲は2位になったのですが,そのことで審査員は罵られることになりました。その後,1位の曲の数十倍のスーパーヒットとなりました。

この曲は,ジュリアン・クレールという歌手の歌でも知られていますが,ミルバがピアソラと共演したアルバム「エル・タンゴ(1984年ブッフ・ドゥ・ノールでのライブ録音)」での歌唱が決定版として特によく知られています。
(2006/07/29)