プーランク Poulenc

■ 管楽器とピアノのための六重奏曲

プーランクは管楽器のための室内楽作品をいくつか書いていますが,その中でももっとも編成が大きいのがこの六重奏曲です。フルート,オーボエ,クラリネット,バスーン,ホルンの管楽五重奏にピアノが加わった編成で書かれています。このピアノが加わることで,曲全体には管楽器の華やかさだけではなく,がっちりとした厚みと安定感が漂っています。

曲は1931年に作曲が始められ1933年に初演が行われていますが,その後,第2次世界大戦がはじまる直前の1939年に全面的に手直しがされたています。この改訂版は1940年に初演されています。

生き生きしたテンポの部分ではプーランクならではの洒落っ気が感じられますが,第3楽章の終結部をはじめとして,静かな部分になるとちょっと不安でシリアスな気分が漂います。この辺は,戦争直前の不安の影なのかもしれません。

第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
曲はかなり大げさな感じで始まります。ピアノの刻むリズムの上に5つの管楽器がおしゃべりをするように短いフレーズのやりとりをします。生気に溢れたウィットはプーランクならではです。

途中ファゴットのソロが入った後,ゆっくりとした静かな部分になります。各楽器が少し不安げな気分を漂わせながらものびやかにソロを演奏します。その後,最初の生き生きとした会話のような部分が戻ってきます。ドキリとするような不協和音が出てきた後,「タッタカター」という感じのホルンのソロが出てきて,さらに快適なテンポ感の中で楽章は結ばれます。

第2楽章 ディヴェルティスマン
優雅で流れるようなメロディで始まります。このメロディが各楽器間で静かに受け渡されて曲は進んで行きます。途中テンポが速くなり快活な部分になります。その後,最初の部分に戻り,テンポも優雅な感じに戻ります。終結部では,ピアノのミステリアスな弱音が出てきた後,神妙な感じで結ばれます。

第3楽章 フィナーレ
ホルンの鋭い音を中心とした強烈な合図の後,「ケークウォーク」のようなギクシャクしているけれども軽妙洒脱なペースで生き生きと曲は進んで行きます。ユーモラアと優雅さの交錯が独特の味わいを醸し出します。

曲の最後の方で不協和音が延ばされた後,休符が入り,その後終結分に入っていきます。この部分では急に真面目な顔つきに変わります。静かな雰囲気から徐々に熱を帯び,最後は心のこもった和音で全曲が結ばれます。(2005/02/26)