プーランク Poulenc

■シンフォニエッタ Sinfonietta

プーランクが1947年に作曲した「小交響曲」です。ただし,演奏時間は30分近く掛かりますので,実質的には「立派な交響曲」です。プーランクの管弦楽曲の中でも最も堂々とした感じのある充実した作品です。ただし,内容的にはビゼーの交響曲などとも共通するすっきりとした味わいがあり,フランスの交響曲ならではの魅力に溢れています。

ぶっきらぼうに始まりますが,急にメランコリックになったり,かと思えば急にユーモアが混じったり...というプーランクの作品の自由自在な作風の特徴がよく現れた作品となっています。

第1楽章
アレグロ・コン・フォーコ。冒頭から唐突に下降するようなリズミックな音型で始まります。この音型が何度か繰り返されます。軽やかな経過部が続いた後,管楽器が憂いを帯びた主題を演奏します。この辺には「象ババール」の音楽などに出てきそうなファンタジックな雰囲気があります。

その後静かな部分に入り,オーボエを中心に叙情的なメロディが歌われていきます。一時活気づいた後,期待感に膨らんで行くように音楽が盛り上がっていきます。その後,最初の唐突な主題が再現されます。主題が次から次へと姿を現した後,静かなコーダで結ばれます。

第2楽章
モルト・ヴィヴァーチェ。軽妙なスケルツォ楽章で6/8の「タタタ,タタタ...」というタランテラ風のリズムが中心となっています。楽しい楽想があてどもなく顔を出しながら曲は進んで行きます。中間部は少し気分がかわり,徐々にロマンティックな音楽になっていきますが,ここでもプーランク独特の鮮やかな展開が見られます。トランペットのファンファーレ風の響きは「白鳥の湖」の情景のテーマの少し似ています。音楽が一息ついた後,最初のタランテラのリズムが戻ってきます。再現部は単純なものであっさりと終わります。

第3楽章
アンダンテ・カンタービレ。木管楽器の少しミステリアスなつぶやきで始まります。その後,ドヴォルザーク風の素朴なメロディがクラリネットに出てきます。このメロディを弦楽器が受けて,滑らかに進んでいきます。中間部では弦楽器が幅広いゆったりとしたメロディを感動に満ちた感じで演奏し,木管楽器が次々と絡んでいきます。その後,最初の素朴なメロディが断片的に出てきます。完全な形で再現された後,名残惜しげに静かに楽章が結ばれます。

第4楽章
フィナーレ。唐突で飛び跳ねるような明るい主題で始まります。第1楽章冒頭ともちょっと似たような感じがあります。プーランクらしい開始と言えます。その後,弦楽器を中心に明るいメロディが軽やかに続きます。ホルンが抒情的なメロディを朗々と出した後,今度はリズムがもう少し重くなり,ユーモアに溢れた上機嫌雰囲気になります。この辺の色彩感豊かな楽しい雰囲気はプーランクならではです。

2楽章に出てきた「白鳥の湖」のような音型の後は,ゆったりとした叙情的な部分になります。クラリネットと弦楽器を中心にいろいろな楽器によってメロディが受け渡されていきます。この後,最初の部分がかなり自由な感じで再現されます。最後に大きな盛り上がりを作った後,突然きっぱりと終わります。
(参考)プーランク/シンフォニエッタ他)のCD(ジョルジュ・プレートル指揮パリ管弦楽団,東芝EMI TOCE-11415)の津村正氏による解説
(2005/04/03)