レスピーギ Respighi

■組曲「鳥」

「ローマ三部作」などの派手なオーケストラ作品で知られるレスピーギですが,この曲ののような,「古風」な曲もいくつか作曲しています。中では,「リュートのための古いアリアと舞曲」というシリーズとこの組曲「鳥」が有名です。この曲は17,18世紀のクラヴサン曲を編曲したもので,前奏曲の後,いろいろな鳥を描写した曲が続きます。いずれもレスピーギならではの巧みなオーケストレーションを堪能できる,楽しい描写音楽となっています。

第1曲 前奏曲
行進曲風の素朴な感じのメロディで始まります。一区切り着いた後,第3曲に使われる「めんどり」の旋律をヴァイオリンが演奏します。この曲は「動物の謝肉祭」の中にも出てくる有名な曲です。その後は,第5曲に出てくる「かっこう」に基づく部分が続きます。ヴァイオリンが「かっこう」と一声鳴いた後,木管楽器による愛らしい感じの部分が続きます。再度,最初の行進曲風の部分が再現して第1曲は終わります。

第2曲 鳩
弱音器をつけたヴァイオリンが鳩の鳴き声を真似する中,オーボエがハープの伴奏に乗って甘い旋律を演奏します。中間部では,鳩の鳴き声の音形が出てくる中,チェロをはじめとして色々な楽器による表情豊かな旋律が続きます。最後は,ハープのグリッサンドの後,静かな和音で結ばれます。この曲はジャン・ド・ガローという人のクラブサンの曲が原曲です。

第3曲 めんどり
第1曲にも出てきた曲です。この曲はラモー作曲の「めんどり」が原曲です。原曲も描写的ですが,レスピーギの編曲によってさらに色彩的でユーモラスな感じになっています。最後はクラリネットが主題を演奏した後,トランペットが鋭い音をひと吹きして終わります。

第4曲 夜鳴きうぐいす
作曲者不詳のヴァージナル(イギリスで流行した小型クラブサン)の音楽が原曲です。弦楽器の柔らかい音の動き上に木管が愛らしくメロディを演奏します。途中,ピッコロやフルートが鳥の声を描写します。まもなくチェレスタも加わります。最後は弦楽器だけのざわめきになって終わります。

第5曲 かっこう
バスキーニの曲が原曲です。第1曲に出てきたように,かっこうの鳴き声を折り込んで,森林を描いています。第1ヴァイオリンの音階風の動きに続きチェレスタが出てきます。かっこうの声は木管楽器で次々と出てきます。いったん速度を落とした後,展開風の動きになります。再度,テンポが速くなり,フルートがかっこうを模倣し,ヴァイオリンが静かに細かく動き始めます。第1曲の中間の雰囲気が再現した後,最後は第1曲冒頭が戻ってきて全曲が締めくくられます。(2002/06/26)