さだまさし Sada

■秋桜

「秋桜」と書いて「コスモス」と読みます。さだまさしが,山口百恵に捧げた曲で,1977年10月に彼女のシングル・レコードが発売されています。明日嫁いでいく娘と母の心情を細やかに描いた曲です。結婚する親子の関係を描いている点で,「親父の一番長い日」と対になる曲といえそうです。さださんが家族の絆を歌のテーマとして重視していることがよくわかります。

曲の前半は静かに語るように進みます。非常に文学的な雰囲気のある歌詞で,「涙もろくなった母」を思う娘の感情の襞が美しく表現されています。対照的に曲の後半は,「こんな小春日和の」の部分で大きく盛り上がります。「小春日和」という言葉の持つ日常性とそれが失われるはかなさが,さりげない悲しみを誘います。

この曲は,娘の一人称で歌われる曲ですので,女性が歌う方が相応しい曲ですが,さださん自身も歌っており,アルバム「私花集」(1978年3月)に収録されています。さださんの声質は中性的で繊細ですので,全く違和感はありません。(2004/07/10)