サン=サーンス Saint-Saens

■序奏とロンド・カプリチオーソ,op.28
サン=サーンスが名ヴァイオリニストで作曲家のサラサーテのために作曲したヴァイオリン独奏のための名曲です。ヴァイオリン独奏付きの曲ではツィゴイネル・ワイゼンと並ぶ人気曲となっています。サラサーテのために書かれた曲だけあって技巧的に大変難しい曲ですが,サラサーテからヴァイオリン奏法に関してアドバイスを受けて作曲していますので,無理なく弾ける曲のようです。難技巧が報われる曲ということで聞く方からも演奏者からも好まれている曲です。

曲は,文字通り「序奏」と「ロンド・カプリチオーソ」の2つの部分から成っています。「メランコリックに」と書かれたアンダンテの序奏は,サラサーテを意識してジプシー音楽風にゆっくりと悲しげに歌われます。

ロンド・カプリチオーソの部分は,アレグロ・ノントロッポにテンポを上げ,難技巧を繰り出す派手なロンドです。2オクターブに渡ってリズミックに下降する主題が中心です。途中6/8拍子の歯切れの良い楽想がロンド主題と交代します。カデンツァ風のパッセージの後,一段とテンポアップし,終結部になります。奏者の気分(?)によって自由にテンポが伸び縮みする曲ですので,オーケストラとしては結構合わせるのが難しい曲のようです。

オーケストラ伴奏版がオリジナルですが,ビゼーによるピアノ伴奏版でも演奏されます。(2003/08/26)