OEKfan TOP > 曲目解説集  Program Notes
サン=サーンス Saint-Saens
歌劇「サムソンとデリラ」op.47〜バッカナール

「サムソンとデリラ」は,サン=サーンスが,1872年,旧約聖書「士師記」に出てくるヘブライの英雄サムソンと妖艶なぺリシテの美女デリラの物語をもとにを作曲した全3幕からなるオペラです。1877年にワイマールで初演されましたが,聖書を題材としたということで,当初パリでは上演禁止とされていました。その後,1892年に正式に初演されてからは,現代に至るまで繰り返し上演されています。フランスのグランドオペラを代表する作品となっています。

その第3幕第2場で,サムソンを捕らえたペリシテ人たちが,勝利を祝って奔放に踊るバレエの場に出てくるのが,「バッカナール」です。ギリシャ神話に出てくる酒神バッコスから出てきた言葉ということで,「飲めや歌えのお祭り騒ぎ」の場の音楽です。オペラ中もっとも有名な音楽の一つです。

曲は,絵に描いたようなエキゾティックな音楽で,ヘブライ風のメロディや,シンコペーションのリズムなどがたっぷりと盛り込まれています。サン=サーンスならではの色彩的で官能的なオーケストレーションが聞きものです。

曲はまず,エキゾティックな気分たっぷりのオーボエの独奏ではじまります。中間部はマリンコニーコ(メランコリー)と指定され,憂鬱な気分に包まれますが,最後には太鼓の乱れ打ちのに乗って乱舞するような雰囲気になり,爆発的な熱狂のうちに閉じられます。

この曲は,2007年のシーズン,女子フィギュア・スケートの安藤美姫選手がショートプログラムの音楽として使っていた曲ですので,どこかで聞いた方も多いと思います。
(2009/01/17)