サラサーテ Sarasate

■ツィゴイネルワイゼン,op.20

スペインのヴァイオリニスト兼作曲家,サラサーテの代表作です。ヴァイオリンの技巧を駆使した傑作として大変人気の高い曲です。曲名の「Zigeuner ツィゴイネル(チゴイナー,チゴイネル...など表記に揺れはありますが)」というのは英語で言うところの「ジプシー」です。「weisen ワイゼン」というのは「旋律」ということですから文字通り訳すと「ジプシーの旋律」ということになります。近年,「ジプシー」という用語は差別用語として放送等では使われないようになってきていますが,ドイツ語の「ツィゴイネル」なら問題がないのかこの曲の呼称については,放送でもそのまま使われています。ちなみに,ラヴェルの「ツィガーヌ」という曲も同様の意味です。

曲は,3つの部分から成っています。まず,管弦楽による深刻な雰囲気で始まります。この部分は,あまりにまじめなので,バッハの「トッカータのフーガ」の出だし同様,お笑い番組のBGMなどに使われたりすることもあります。引き続いて独奏ヴァイオリンが登場し,急速に音階を駆け上っていきます。しばらく暗く,遅いテンポの叙情的な部分が続きます。第2部は,独奏ヴァイオリンが弱音器をつけ,さらにセンチメンタルな雰囲気になります。この辺が「ジプシーの旋律」なのですが,日本語の歌詞などをつけてみると演歌っぽくなりそうです。第3部は一転して,急速なテンポに切り替わります。ヴァイオリンの技巧を誇示する部分が続き,一気に終わります。

この曲は管弦楽伴奏の曲ですが,ピアノ伴奏で演奏されることの方が多いようです。(2002/7/30)