サティ Satie

■パラード

”パラード”というのは英語でいうと”パレード”となります。パラードというのは,公演の前に客寄せのために無料で見せていた芸のことをいいます。その名のとおり,フランスの旅芸人一座を描いたバレエ音楽です。

この曲でまず凄いのは,初演のスタッフとキャストです。台本:ジャン・コクトー,衣装・装置:ピカソ,上演:ディアギレフのロシアバレエ団,主演:レオニード・マシーン,指揮:エルネスト・アンセルメという豪華組み合わせです。サティといえば,ピアノ独奏のための小品が有名ですが,オーケストラ作品もいくつか作っています。この曲はその代表作です。

この曲には,エドガー・ヴァレーズの先駆となるような「騒音」を音楽に加えるなど,いろいろなアイデアが盛り込まれています。使われている楽器を列挙すると,ピストル,サイレン,タイプライター,宝くじのルーレット盤...など通常楽器として使われないものがずらりと並んでいます(実演ではこれを眺めるのも楽しみ)。ただし,それ以外の管弦楽の方はそれほど大きな編成ではありません。初演時にスキャンダルになったというのは,このサティの音楽にも起因しているようです。

組曲版は次の6曲から成っています。

1.コラール
2.赤いカーテンの前奏曲
3.中国の手品師
4.アメリカの少女
5.軽業師
6.終曲
(2004/05/22)