シューベルト Schubert

■音楽に寄す An die Musik D.547,op.88-4
ニ長調,3/4,中庸の速さで,2節の有節形式

[作曲時期]1817年
[歌詞] ショーバー

シューベルトの歌曲中,もっとも有名なものの一つです。この曲は,シューベルトの親友の一人だったショーバーの詩に作曲したもので,音楽を称え感謝する心を感動的に歌い上げています。ショーバーは,ゲーテやシラーといった文学界の巨人ではありませんが,シューベルトを援助していたスウェーデンの貴族出身者で,一時期,シューベルトと共同生活をしていたこともあります。素朴な詩が,シューベルトの音楽を得ることで感動的な世界に変貌した好例と言えます。

曲は伴奏ともども,とても単純ですが,大らかな感動に満ちています。そのことがかえって表現の難しさになっている部分もあります。

この曲の日本語訳ですが,「音楽に」「音楽に寄せて」など,かなりユレがあります。「楽に寄す」という堀内敬三訳のものが,"An die Musik"というオリジナルの簡潔さにいちばんぴったり来るかもしれません。

[歌詞大意]
人生の苦しみを癒してくれる芸術,清らかな調べによって私を天に導いてくれる芸術,私はあなたに感謝する。(2007/09/29)