シューベルト Schubert

■寂滅D.807
Auflosung D.807

ト長調,4/4,速すぎずに。2節からなる有節形式

[作曲時期]1824年
[歌詞]マイアホーファー

この曲の原題は日本語に約しにくいもので,「解消」と訳されているものもあります。「破滅」や「崩壊」という意味と同時に,「不協和音」から「協和音」ヘの「解決」という意味も持ちます。作詞者のマイアホーファーの厭世主義が究極まで来たような自虐的な歌詞となっています。

シューベルトはその中から壮麗な法悦を持った音楽を引き出しています。全曲一貫してピアノはトレモロで伴奏をします。そのうねりの中で「滅びされ,世界よ」というフレーズが繰り返し戻ってきます。1節最後で転調を繰り返しますが,全体に和声の動きは非常に少なく,全体に静かな落ち着いた雰囲気を持っています。流れるようなメロディが感情を盛り上がらせた,最後には天上的な陶酔の世界に入って行って終わります。(2004/10/23)