シューベルト Schubert

■ただ憧れを知るものだけが D.877(op.62-4)
Nur wer die Sehnsucht kennt D.877(op.62-4)

イ短調,6/8,ゆっくりと,三部形式(A-B-A')

[作曲時期]1826年1月
[歌詞]ゲーテの「ウィルヘルム・マイスターの修業時代」の中の一節。

この歌詞には,多くの作曲家も曲を付けていますが,シューベルトは何と同じ歌詞で6曲も作っています。その中で,今日いちばんよく歌われるのがこの曲です。この曲は,「ウィルヘルム・マイスター...」の主人公の少女ミニヨンの歌う歌です(その中の2曲目です)。この詩も具体的な内容を歌ったものというよりは,遠く隔たれている愛の対象に対する憧れを歌ったものです。

憧れと悲しみを交錯させたような歌詞に忠実なメロディがピアノの簡素な伴奏上に出てきます。小規模ながら味わい深さも持っています。(2004/10/23)