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ショスタコーヴィチ Shostakovichr
祝典序曲op.96  Festive Overture,op.96

深遠で少々無気味なイメージの多いショスタコーヴィチの作品の中で,もっともシンプルで明快な作品の一つがこの祝典序曲です。1948年ソヴィエトの革命記念日を祝うために作曲された「体制的な曲」ということで,オラトリオ「森の歌」などと同様のコンセプトで書かれた曲です。思想的な背景は別として,大変演奏効果の上がる曲ですので,吹奏楽編曲版を含め,幅広く愛好されている作品となっています。

曲はトランペットによるファンファーレが2回繰り返された後,テンポがプレストになり,クラリネットが軽快に流れるようなメロディを演奏します。このメロディをヴァイオリンが繰り返し,他の楽器とのやり取りが続きます。トロンボーン,チューバなどが逞しく登場した後,チェロとホルンに新しいメロディが出てきます。ヴァイオリンとヴィオラが引き継いだ後,弦のピツィカートの上にクラリネットなどが軽快なメロディを演奏する部分になります。この辺の疾走しながら盛り上がる感じはショスタコーヴィチならではです。

そのうちに冒頭のファンファーレが力強く出てきます。ふたたびプレストになり,先ほどチェロとホルンで出てきた2番絵目の主題を挟んだ後,華々しく全曲が結ばれます。(2006/06/24)