シュトラウス,J.II  Strauss,J.II

■ポルカ
シュトラウスの作曲したポルカは,「速いポルカ」と「遅いポルカ」の2つに大別されます。「速いポルカ」の方は,"Polka-schnell"と呼ばれ,「遅いポルカ」の方は「フランス風ポルカ」と呼ばれます。その他,3拍子の「ポルカ・マズルカ」という,折衷的な曲もあります。ポルカというのは,ボヘミアの農民の民族舞踏が起源と言われています。いずれもワルツほど規模は大きくなく民俗舞曲風の三部形式の曲が多いようです。予想もつかない鳴り物が入ったり,変わった奏法が加えられたりといろいろなアイデアが盛り込まれているのが特徴です。

アンネン・ポルカop117
シュトラウスのポルカの中でもいちばん親しまれている曲の一つです。この曲は「聖アンネ祭」のために作られた上品で親しみやすいフランス風ポルカです。父親の方のヨハン・シュトラウスも同名の曲を書いていますが,息子のアンネン・ポルカの方が有名なようです。

新ピチカート・ポルカop.449
ピチカート・ポルカというのは,ヨハン・シュトラウスが弟のヨーゼフ・シュトラウスと共同で作った弦のピチカートとだけで演奏される曲ですが,こちらの方は,ヨハンが単独で作った曲です。こちらも同様の趣向の曲です。「ピチカート...」の方は,中間部にグロッケン・シュピール(鉄琴)の音が入りますが,「新...」の方は純粋にピチカートだけで演奏されます。

ポルカ「狩にて」op.373
この曲は「速いポルカ」に属します。その中でも特にギャロップと呼ばれる疾走感のある曲です。聞き所は狩人の打つ鉄砲の音です(そういう意味でも運動会のかけっこのBGMにぴったりの曲です)。どういう演出があるか楽しみに聞いて下さい。

●ポルカ「クラップフェンの森で」op.336
シュトラウスのポルカの中でも特に愛敬があって親しまれている曲です。ポルカの種類としては,のんびりとしたフランス風ポルカにあたります。この曲のタイトルの「クラップフェン」というのはウィーンの北側にある小高い丘のあるあたりの地名です。この曲では,ウィーン市民の憩いの場であるクラップフェンの森にいる小鳥たちのさえずりを中心にのどかな田園風景を描いています。「ポッ,ポー」というかっこうの笛がのんびりと使われているのが特に印象的です。

ただし,この曲は実はシュトラウスが寒いロシアを旅行した時に作られています。最初は,何と「パブロフスクの森で」というタイトルだったらしいのですが,ウィーンで演奏される時に現在の名前に変えられています。

ポルカ「雷鳴と稲妻」,op.324
タイトルどおり「雷鳴」と「稲妻」を描写した速いテンポの楽しいポルカです。いきなり打楽器でドロドロドロと雷のような音で始まります。この音は曲中たびたび登場します。曲はギャロップのような快適なテンポで始まりますが,伴奏の方にはちょっと無気味なうねるような音も出てきます。続いて,金管楽器が豪快に楽しげなメロディを演奏します。中間部では,「ピカッ,ゴロゴロ」という感じを描写しています。

この曲は,カルロス・クライバーのお得意の曲です。来日公演のアンコール,ニューイヤーコンサート,オペレッタ「こうもり」のパーティの場など,いろいろな機会で演奏しています。そのせいか,シュトラウスのポルカの中でも大変人気のある曲となっています。。(2002/1/4)