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シュトラウス,R.. Strauss, R.
13管楽器のための組曲 変ロ長調 op.4

リヒャルト・シュトラウスは父が高名なホルン奏者だったこともあり,幼少時からその響きに魅せられていました。音楽を志した最初期から管楽器に強い関心を示し,1881年,17歳の時に書き上げた「管楽器のためのセレナード」は,当時の楽壇に大きな影響力を持っていた指揮者のハンス・フォンビューローの目に留まり,彼の出世作となりました。

出版の関係で作品番号は前後していますが,この「組曲」は,そのビューローの勧めでで書かれたものです。「セレナード」同様,13本の管楽器のために書かれています。この編成は,モーツァルトの書いた13管楽器のための組曲「グラン・パルティータ」がモデルになっていることは確かです。後年のシュトラウスらしさは明確には出ていませんが,ブラームス風のロマン的古典主義を反映した作品で,いかにも才気煥発といった才能の片鱗が見える作品となっています。

この4楽章の大作は,シュトラウス自身の指揮によって初演されました。シュトラウスは,初演の当日の朝に急に指名され,1回の練習もなしに,当時最高のオーケストラと評判の高かったマイニンゲンの宮廷オーケストラのメンバーを指揮しました。この初演の成功によって,シュトラウスは翌年,マイニンゲンのオーケストラの副指揮者の地位を得ています。色々な意味で,シュトラウスにとっては記念すべき曲と言えます。

楽章の中にはガボットやフーガといったバロック音楽の形式が使われていますが,これは作曲中にビューローからバロック様式で作曲することを提案されたためです。そのため,シュトラウスはソナタ形式で既に完成していた第1楽章に手を加えて「前奏曲」に変更しています。終楽章のフーガの緊密さ,堅牢さ,しつこさも印象的です。

  • 第1楽章 前奏曲 アレグレット
  • 第2楽章 ロマンツェ アンダンテ
  • 第3楽章 ガヴォット アレグロ
  • 第4楽章 序奏とフーガ アンダンテ・カンタービレ/アレグロ・コン・ブリオ

(参考文献)
管楽器の名曲・名盤(200CD).立風書房,1997
管楽器の名曲名演奏/伊藤康英(ON Books). 音楽之友社, 1998
(2013/04/23)