武満徹 Takemitsu
■雨の樹:素描
武満は,「雨の樹:素描」というタイトルのピアノ曲を2曲作っています。いずれもフランス音楽の影響を感じさせる,精妙できらめくような響きを持った小品です。大江健三郎の小説に「頭のいい「雨の木(レイン・ツリー)」」という作品がありますが,このシリーズは,この作品を契機として作られた連作です。

雨の樹:素描
1982年に作曲されたピアノ独奏曲。モーリス・フルーレの50歳の誕生日を記念して作られています。中間部でちょっと重い雰囲気になり,その後,長い休符が入った後,後半になります。タイトルどおり,ピアノの音色が水滴を感じさせてくれます。

雨の樹:素描II(オリビエ・メシアンの思い出に)
1992年にメシアンを追悼して作曲されたピアノ独奏曲。「雨の樹」第よりは,もっと馴染みやすい雰囲気があります。A−B−Aの古典的な3部形式からなっています。(2003/10/26)