外山雄三 Toyama
■ラプソディ
恐らく,日本人の作曲した管弦楽曲の中で最も数多く演奏されている曲でしょう。おなじみの日本民謡が次々と出てくる大変親しみ曲です。もともとは,NHK交響楽団の海外への演奏旅行のアンコール・ピースとして短時間で書かれたものですが,そのことが曲全体の勢いにもなっているようです。

曲は,拍子木,鐘,チャンチキなど日本の打楽器総動員,といった感じで賑々しく始まります。続いて「あんがたがどこさ」がホっとするような感じで出てきます。ソーラン節,炭鉱節,串本節といったメロディがいろいろに組み合わさってきて,対位法的な処理も見られます。村祭りのような気分になった後,鈴の響きに先導されて,フルート・ソロが出てきます。弱音のしっとりとした弦楽合奏の上に信濃追分による伸びやかな歌が楽しめる部分です。

これを打ち破るように,鋭い拍子木の音が出てきて,後半に入ります。打楽器群による「ダンダンダン,ダダンダダン」という重々しい響きに続き,ハープの華麗なグリッサンドが入ります。ここから後は,怒涛のような八木節の攻撃になります。最後は,ユニゾンで音をグーっと伸ばした後,すっきりと結ばれます。(2003/08/21)