ウェーバー Weber

■クラリネットと管弦楽のためのコンチェルティーノハ長調,op.26,J.109

クラリネット小協奏曲とも呼ばれます。ウェーバー友人のクラリネット奏者ベールマンのために書いた作品です(ウェーバーの他のクラリネットの作品も彼のために書かれているものがほとんどです)。3つの楽章に分かれていますが,続けて演奏されます。10分ほどの小品ですが,緩→急へと次第に技巧的に変化して行きますので,オペラのアリアを聞くように気持ちよく楽しめます。

第1楽章 
アダージョ・マ・ノン・トロッポ。協奏曲の形式にとらわれず,全曲の導入部的に書かれた楽章です。力強い総奏ではじまった後,独奏クラリネットに沈痛な気分に満ちた主題が出てきます。切れ目なく2楽章に続きます。

第2楽章
アンダンテにテンポが変わり,独奏クラリネットが表情豊かに楽しげな歌を歌い始めます。この楽章は,この親しみやすい主題と4つの変奏からなっています。オーケストラの間奏に導かれるクラリネットによる変奏はいずれも装飾的で,次第に華やかに盛り上がっていきます。途中,短調に変わり,深々とした味わいになるも印象的です。

第3楽章
第2楽章よりもさらにテンポが速いアレグロになります。独奏クラリネットを伴う短い導入の後,オーケストラが流麗なロンド主題を提示します。副主題はあまり重視されていません。独奏クラリネットの名人技に彩られながら,ほぼ単一主題で軽快に展開されていきます。最後の方は,技巧的なオペラのアリアを聞くような楽しさにあふれています。(2003/08/27)