山田耕筰は,日本の歌曲を「芸術歌曲」として確立させた一人と呼ばれています。北原白秋の詞に曲を付けたこの作品は,「赤とんぼ」と並ぶ,このコンビの代表作で,シンプルな構造の中に豊かな情感を盛り込んだ名作となっています。有節歌曲でありながら,各節の言葉の持つ微妙なニュアンスの違いを極めて繊細に音に移している点が見事です。以下の歌詞を読めば,そのまま自然にメロディが湧き上がってくるような曲で,日本語とメロディの一体感をじっくりと味わうことができます。シンプルさ故に表現が難しい作品でもあります。
からたちの花
詞:北原白秋
からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。
からたちのとげはいたいよ。
いい針のとげだよ。
からたちは畑の垣根よ。
いつもいつもとほる道だよ。
からたちも秋はみのるよ。
まろいまろい金のたまだよ。
からたちのそばで泣いたよ。
みんなみんなやさしかつたよ。
からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。
(2008/01/06)
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