湯浅譲二 Yuasa
■ピアノ・コンチェルティーノ
1994年にオーケストラ・アンサンブル金沢の委嘱で書かれたピアノと室内楽オーケストラのための協奏曲。

曲は15分ほどの1楽章形式で書かれている。呼びかけるようなピアノ・ソロに始まる導入部に続いて5つの部分からなる。導入部の後半ではショパンへのオマージュと憧憬を盛り込んだと,作曲者自身はCDのライナーノートに書いている。中間部ではかなり重厚に盛り上がる。コントラバスやティンパニの凄みのあるソロなどオーケストラの個々の楽器もソリスティックに活躍する。最後は,ピアノ独奏の透明感溢れるモノローグで静かに結ばれる。

曲全体としては,ピアノとオーケストラを対立させずに,ピアノがオーケストラを誘導させるような形になっている。ピアノとオーケストラの関係は親密な対話のようであり,室内楽の延長のような雰囲気もある。冷たい雰囲気だけではなく,ロマン主義的な表情も漂う作品となっている。

(参考)21世紀へのメッセージVol.2/岩城宏之指揮オーケストラ・アンサンブル金沢(ドイツ・グラモフォンPOCG-1860)の曲目解説(作曲者自身によるもの及び楢崎洋子氏によるもの)(2003/09/13)