'97いしかわサマーミュージックフェスティバル:オーケストラコンサート
97/08/26 金沢市文化ホール

1)モーツァルト/交響曲第35番ニ長調「ハフナー」,K.385
2)モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調,K.218
3)モーツァルト/ピアノ協奏曲第24番ハ短調,K.491
●演奏
チョーリャン・リン(Vn*2)/イェフィム・ブロンフマン(Pf*3)
原田幸一郎/OEns金沢

長野でも「アスペンミュージックフェスティバル」というのが行われたようですが,金沢市でも同様のコンサートが行われました。プログラムもソリストもよく似ています(入場料も3000円でした。)。ただ,伴奏がOEns金沢というのが違うのではないかと思います。あと,コンサート自体には「アスペン」という名称が入っていませんでした。これはどういう事情かよくわかりません。

というわけで,一見かなり豪華メンバーで,期待していたのですが正直なところ期待外れでした。まず,サマーフェスティヴァルという割に華やかなところがありませんでした。ハフナー交響曲はモーツァルトの曲の中でもいちばん祝祭的な雰囲気のある曲だと思うのですが,この日の演奏は,何故か楽しくない演奏でした。2曲目のヴァイオリン協奏曲も上手なことは上手なのですが,観客の方まで何も伝わって来ませんでした。実際,曲の後,ソリストが2回目に引っ込んだ時に拍手がパタリとやんでしまいました。一流のソリストだというのにどういうわけか,とちょっと驚いてしまいました。

後半のピアノ協奏曲も同様の印象でした。ただ,ブロンフマンさんの見た目の貫禄で迫力のある演奏に見えました。こちらの方は(アンコールをねだる)かなり盛大な拍手がありましたが,長野ではあったアンコールも無しでした。

なぜこうなったかを考えてみると,第一の原因はホールの響きの悪さにあると思います。金沢市文化ホールは以前OEns金沢の定期演奏会に使っていたのですが,最近では全く使っていません。私は,収容人数のせいで変更になったのかな,と思っていたのですが,今回,このホールで聴いてみて雰囲気のない響きにがっかりしました。以前,本当にこのホールで楽しんでいたのだろうか,と自分を疑ってしまいました。特に弦楽器の音はガサガサと聞こえ,音が通らずダイレクトな音しか聞こえません。それほど大きくないホールだけに粗ばかり目立つ感じでした。というわけで,2曲目のヴァイオリン協奏曲が映えなかったのはそのせいだと思います。この曲は3楽章とかで音がフッと途切れるようなところがあるのですが(そのはかなげで力の抜けるような感じが好きなのですが),そういうところが無残な感じでした。チョーリャン・リンさんには気の毒でした。

第二の原因は,練習不足だと思います。実は,31日にOEns金沢の定期演奏会があるのですが,そちらの方を当然のことながら重視していたのでしょう。慎重な感じの演奏の割に粗が目立ったのはそのせいだと思います。ただ,慎重な雰囲気というのは指揮者のせいなのかもしれません。

というわけで,いつもと違うホールで聴いたために,演奏を聴くというよりはホールの響きにばかり気を取られてしまったのは不幸なことでした。来年も行うとしたら(金沢の方はまだ2,3回の歴史しかありません。),もっとふさわしい会場を使ってもらいたいものです(現在の定期演奏会場の金沢市観光会館もパーフェクトではありませんが,今回のホールよりはずっと良いと思います。)。その時は,アンコールの曲を聴けることを祈っています。