OEKのメンバーによるオータム・チェンバー・コンサート
97/09/18金沢市民芸術ホール

1)シューベルト/弦楽四重奏曲第12番ハ短調,D.703「断章」
2)ハイドン/弦楽四重奏曲第78番変ロ長調,op.76−4「日の出」
3)モーツァルト/ディヴェルティメント,ニ長調,K.136
4)モーツァルト/弦楽四重奏曲第23番ヘ長調,K.590
(アンコール曲)
5)モーツァルト/弦楽四重奏曲第23番ヘ長調,K.590〜第3楽章ノ一部
●演奏
マイケル・ダウス,坂本久仁雄(Vn),石黒靖典(Vla),大澤明(Vc)

オーケストラ・アンサンブル金沢ではフル編成のコンサートの他にメンバーによる室内楽の演奏会を季節ごとに行っています。オーケストラの中のアンサンブルというメリットを利用して,五重奏,六重奏といったやや大きめの編成の曲や管楽器の入った曲を演奏することが多いのですが,今回はオーソドックスに弦楽四重奏のみのプログラムでした。

今回のリーダーはOEKのアーティスティック・ディレクターのマイケル・ダウスさんでした。プログラムによると”クァルテット・サンライズ”という名称がついていましたが由来はよくわかりません。今回演奏されたハイドンの「日の出」に関係あるのかもしれません。OEKは,女性団員が多いのですが,この日は男性ばかりでいつもと違った雰囲気でした。

この演奏会は,JR金沢駅前のホテル日航の6階にある金沢市民芸術ホールという室内楽向けのホールで行われました。さすがに満席にはならなかったので,思い切って前から2列目のダウス氏の真正面に座ってみました。音は当然よく聞こえましたが,あまりダイレクトに音が聞こえ過ぎて少々疲れたので,後半は最後列真ん中に移ってみました。こちらの方がバランス良く聞こえました。

全体に,第1ヴァイオリンとそれ以外のバランスが悪い印象を持ちました。ダウスさんの流れるような美音ばかりが目立ち,他の人は背景に霞んでいるような感じでした(ハイドン,モーツァルト時代の弦楽四重奏曲には多分にそういう性格があるのですが)。

プログラムの中では,最後の「プロシア王」四重奏曲がいちばん良いと思いました。味わい深い感じではありませんが,速いテンポですっきりまとまっていました。アンコールでこの曲の3楽章の一部を,少し崩した感じで弾いていたのですが,他の楽章もこういう感じで聴かせてもらった方が楽しめたような気がします。

「日の出」という曲は標題の由来となっている冒頭部分が印象に残りましたが(「ツァラトゥストラはこう語った」同様最初だけ有名なのでしょうか?),それ以外はもう一つ楽しめませんでした。

OEKのメンバーによる室内楽の場合,やはりもう少し大人数で,あれこれ目先を変えて楽しげにやってもらった方がいいかな,とも思いましたが,金沢でプロの演奏で弦楽四重奏を聴くことは珍しいことなので,この室内楽シリーズはこれからも続けていって欲しいと思っています。