ふだん着ティータイムコンサートVol.5
02/6/2 金沢市民芸術村  (注)★は管理人hsが未聴の曲です。

■ドラマ工房プログラム
【第1部15:00〜】子供のためのコンサート
1)とっとこハム太郎,おさかな天国★
<<子供のためのコンサート>>
2)宮崎駿メドレー★
3)アンダーソン/プリンク・プレンク・プランク★
4)1分間指揮者コーナ:あなたも指揮者になれる)★
5)体験コーナー:一緒に演奏してみよう★
●演奏
大隈容子,原三千代(Vn*1),渡邉聖子(Fg*1),渡邉昭夫(Perc*1),OEKのメンバー(2-5),柳浦慎史(司会*2-5)

【第2部16:15〜】室内楽コンサート
1)フィリドール/2台のティンパニのためのマーチ
2)作曲者聞き忘れ/5つのデュオ〜3曲
3)グッドマン/ティンピアーナ
4)プロコフィエフ/五重奏曲
5)ヒンデミット/七重奏曲★
●演奏
渡邉昭夫,渡辺壮(Perc*1-3),坂本久仁雄(Vn*4),石黒靖典(Vla*4),今野淳(Cb*4),加納律子(Ob*4),遠藤文江(Cl*4,5),岡本えり子(Fl*5),水谷元(Ob*5),木藤美紀(Cl*5),柳浦慎史(Fg*5),谷津謙一,藤井幹人(Tp*5)

【第3部18:10〜】 大人のためのコンサート
1)ヴァイオリン二重奏のための小品集★
<<大人のためのコンサート>>
2)クラーク/トランペット・ヴォランタリー
3)楽器紹介
4)1分間指揮者コーナー
5)体験コーナー
6)渡辺俊幸/NHK大河ドラマ「利家とまつ」〜友愛
7)(アンコール)映画「白雪姫」〜ハイホー
●演奏
松井直,大村俊介(Vn*1),OEKのメンバー(2-7),柳浦慎史(司会*2-7)

■ミュージック工房プログラム
【第1部15:30〜】室内楽コンサート
1)プラームス/ハンガリー舞曲第5番他★
2)バルトーク/コントラスト〜第1楽章★
3)バッハ,J.S./フーガの技法〜コントラプンクトゥスI★
4)シューベルト/弦楽五重奏曲〜第1楽章★
●演奏
大隈容子(Vn*1),江原千絵(Vn*1,2,4),トロイ・グーキンズ(Vn*4),石黒靖典(Vla*4),大澤明,早川寛(Vc*4),遠藤文江(Cl*2),水谷元,加納律子(Ob*3),渡辺聖子,柳浦慎史(Fg*3),倉戸テル(Pf*1,2)

【第2部17:00〜】室内楽コンサート
1)ボーリング/Tool suite〜第1曲★
2)ブラームス/弦楽六重奏曲第2番〜第1,2楽章
3)レノン&マッカートニー(すぎやまこういち編曲)/ビートルズ名曲集(ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード,エリナー・リグビー,イエスタディ,レット・イット・ビー,ヒア・ゼア・アンド・エヴリホェア,オブラディ・オブラダ)
●演奏
藤井幹人(Tp*1),倉戸テル(Pf*1),今野淳(Cb*1,3),渡邉昭夫(Perc*1),山野祐子(Vn*2),大隈容子(Vn2),石黒靖典(Vla*2,3),原三千代(Vla*2,Vn*3),大澤明(Vc*2),早川寛(Vn*2,3),坂本久仁雄(Vn*3),木藤美紀(Cl*3),柳浦慎史(Fg*3),山田篤(Hrn*3)

金沢市民芸術村外観
演奏会場の金沢市民芸術村です。この日は快晴で,外で遊んでいる子供もたくさんいました。
初夏の恒例行事になっているオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)員による「ふだん着ティータイム・コンサート」に今年も出かけて来ました。例年は家族で出かけていたのですが,今回はあれこれ家の用事が重なり,私だけ,しかも後半のみ参加してきました。今回は,前半は子供向け,後半は大人向けと区分されていたのですが,間に,突如マニアックな曲が入っていたりして,非常に変化に富んだプログラムになっていました。全部聴けませんでしたので,私が聴いたものについてだけ感想を書きましょう。

演奏は,金沢市民芸術村のドラマ工房とミュージック工房の2箇所で行われました。同時進行している部分もあるので,すべてのプログラムを1人で聞くことは不可能なのですが,この2つの部屋を行き来すれば,大体のところは聞くことができます。私が芸術村に到着したのは,丁度ドラマ工房第2部が始まる頃でした。

まず,パーカッション2人(2人とも渡辺さん)によって3曲演奏されました。フィリドールという人の2台のティンパニのための曲はもっと新しい時代の曲かなと思って聴いていたのですが,17世紀にヴェルサイユ宮殿で演奏された曲とのことでした。次の曲は,現代の作品でウッドブロック,コンガ,ボンゴなどいろいろな打楽器が出てくる不思議な曲でした。この日は舞台の直前にシートが敷いてあり,子供たちが寝転がりながら聞いていたのですが,いわゆる「現代音楽」を小さな子供たち寝転がりながら聴いているというのも面白い光景でした。パーカッションのステージの最後は,ニューヨーク・フィルの打楽器奏者のグッドマンという人の作った曲でした。ドラムスとティンパニの掛け合いの曲で非常にノリの良い格好良い作品でした。

続いては,ヴァイオリン,ヴィオラ,コントラバス,オーボエ,クラリネット各1人という変わった編成の曲でした。プロコフィエフがサーカスのために作った曲とのことですが,どこかストラヴィンスキーの「兵士の物語」を思わせるような雰囲気がありました。ヴァイオリン,コントラバスなど弦楽器の高音が続出するような曲で,かなりの難曲だと思いました。この演奏会は,気軽に聴けるような曲と日頃演奏できないレパートリーに挑戦しているようなものとが混在しているところが独特なところです。

その後は,ヒンデミットの7重奏曲だったのですが,同じ傾向かなと思い,今度はミュージック工房の方に行ってみました。こちらは,丁度ブラームスの弦楽六重奏曲第2番が始まるところでした。この曲は,別名「アガーテ」と呼ばれているそうです。アガーテというのは,ブラームスが忘れようと思っても忘れられない女性の名前で,AGAHE音型(ラソラシミ?)が出てくるそうです(ブラームスはかなりしつこい性格か?)。この音型がどのように出てきていたのかはよくわからなかったのですが,レンガ作りの建物の中でブラームスを聴くというのは実に味があるものです。

その後は,室内楽によるビートルズ曲集でした。今回の編は,シューベルトの八重奏曲と同じ編成とのことでした。つまり,ヴァイオリン2,ヴィオラ,チェロ,コントラバス,クラリネット,ファゴット,ホルンということになります。すぎやまこういち氏が編曲したもので,非常に楽しめるものになっていました。この編成自体,小オーケストラ的で,各曲ごとにソロとして出てくる楽器を使い分けており,変化に富んでいました。特にホルンの使い方などは,室内楽なのにかなりダイナミックな感じでした。ビートルズの曲には,もともと弦楽四重奏が編成に入っているような曲もありますので,エリナーリグビー,イエスタディ,ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエアなどは全然違和感はありませんでした(特にエリナーリグビーはもともとそういう曲ですね)。ヒザ・ゼア...でのヴァイオリンのソロも非常に華やかで聴きごたえがありました。レット・イット・ビーは,3拍子風に演奏していたのですが,そうするとイングランド民謡か何かのように響いていました。最後のオブラディ・オブラダは,クラリネットが主旋律を弾いていましたが,何となく「クラリネットをこわしちゃった」を思い出してしまいました。このコーナーは,編曲が面白かったせいか,この日のコンサートの中ではいちばん楽しめました。

再度,ドラマ工房に戻ってみると,ヴァイオリンの松井さんと大村さんが,何やら民謡風の小品を次から次へと弾いていました。多分,場つなぎをされていたのだと思います。「ビールを飲みながら聞くのに最適の音楽です」とおっしゃられていましたが,来年はオープン・スペースで実現してもらいたいものです。

このコンサートの最後のステージは,このヴァイオリン・デュオに続いて行われた「大人のためのコンサート」でした。これは,最初に行われた「子供のためのコンサート」に対応していたのだと思うのですが,内容的にはあまり大きな違いはなかったようです。まず,トランペット2本をソロとして,トランペット・ヴォランタリーが演奏されました。両サイドに立ったトランペットのとても輝かしくキレのある響きを十分楽しむことができました。その後,突如,予定外にメンデルスゾーンの結婚行進曲が演奏されました。おめでたい出来事のあった団員を驚かせてやろうという,いかにもオーケストラらしいお祝いの仕方です。ちなみにおめでたい出来事のあったのは,第2ヴァイオリンの原さんでした。

その後は,柳浦さんの軽妙な司会進行で,オーケストラの楽器紹介がありました。まず,協奏曲の一部を管楽器奏者に演奏してもらいました。弦楽器の方は,アイネ・クライネ・ナハト・ムジークの第1楽章をコントラバスから演奏していってもらい,何の曲か考えてもらうという趣向になっていました。

続いて恒例の1分間指揮者コーナーです。今回は2人の方がベートーヴェンの運命の第1楽章を指揮されました。どちらも戦前の大巨匠のようなものすごいテンポになっていましたが,やはり,実際に自分の思っていたテンポでオーケストラを動かすというのは難しいことのようです。2人目の方は「一つお願いがあります。終わった後,コンサートマスターと握手させてください」というお願いをされました。「それなら,最初からやりましょう」ということで,ステージの袖から入場するところから挑戦されてウケていました。

続く体験コーナーは,昨年は無かったかもしれません。シュトラウスのポルカ「クラップフェンの森で」の最後の部分に入る「カッコウ笛」を吹いてもらうという企画でした。大人は誰も挙手しなかったので,子供がやっていましたが,日頃吹きなれない楽器なので,オーケストラの人がやっても緊張するかもしれません。

最後は,今年の定番「利家とまつ」から「友愛」が演奏されました。ファンと団員の集いということで,ふさわしい選曲でした。その後,アンコールとして「ハイホー」が演奏されました。こちらの方は「大人のためのコンサート」にしては子供っぽいかなとも思いましたが,軽快に締めてくれました。

こういうカジュアルで緑のある空間が市内にあること自体恵まれていると思うのですが,他のオーケストラではこういうことはあまりやっていないと思います。オーケストラの団員の生の声を聞ける,ということは,本当に親しみがわきます。ちょっとマンネリかな,と思うところもありましたが,これからも是非続けていってほしい企画です。

PS.というわけで,無責任に企画を考えてみました。
・抽選会,ビンゴなどのゲームをする。当たった人に豪華景品+指揮をしてもらう。
・歌の入るコーナーがあると変化が出てくると思う。団員に歌ってもらう...とまでは言いませんが。
・楽器を使った隠し芸コーナー(そういう芸達者な方が入れば)
・楽器を持って記念撮影コーナー。好きな楽器を手に取って持ってもらい,団員と記念撮影。
・OEK+地元アマチュア音楽家コーナー。このところ,OEK団員と地元の音楽愛好家が結びついた団体が非常に多くなってきたので,その宣伝をしてもらう。ついでに後片付けも手伝ってもらう。

というわけで,遊びの企画ばかりになって失礼しました。