ロンドン交響楽団演奏会
2002/10/27 ハーモニーホールふくい

バルトーク/弦楽器,打楽器,チェレスタのための音楽
ストラヴィンスキー/バレエ音楽『火の鳥』
●演奏
ピエール・ブーレーズ/ロンドンSO

Review by七尾の住人さん
日曜日ということで、福井のハーモニーホールへロンドン交響楽団を聴きに出かけました。七尾から車で高速を走り、休憩なしで2時間と少し。さすがに平日の夜はきついかもしれませんが、これくらいならハーモニーホールへもたまには出かけられそうです。

まず、ハーモニーホールの印象から書きます。

何よりもよかったのが600台止められる駐車場があり、しかも無料であること。これは遠方から行く者にとって、とてもありがたいです。また、座席が結構余裕があり、奥深くに腰掛けて前の座席まで膝から拳二つと半ぐらい空間がありますので、とても座っている人の前を通りやすかったです。

そして、思ったより早く着いたので中をいろいろと見て回ろうと思ったのですが、図書や雑誌、ビデオなどの資料は充実していましたが、それ以外見るところはあまりありませんでした。石川県立音楽堂の場合は、会場前でホールには入れずともホワイエで何かを飲んで時間をつぶすことができるのですが、ハーモニーホールの場合は開場しないとホワイエがありません。同じ敷地内にレストランがあったのですが、いったん外に出なければいけないので、今日みたいな悪天候の日は出る気にもなりません。大ホール、小ホールとあるのですが、その間に建物への入り口があり、入っても座ってくつろげる場所が少なかったです。

そして、これは開場して中に入っても同じでした。石川県立音楽堂(ハーモニーホールも正式名称が福井県立音楽堂なので、いちいち全部書きます)の場合は結構座る場所が用意されていて、休憩の時はホールの外で安向きになりますが、ハーモニーホールは出てもくつろげる場所が少ないので、休憩の時もホールの中にいるしかありませんでした。また、チケット売り場が小さいなど石川県立音楽堂と比べるとどうしても見劣りするような感じでした。やはり、そこは後発の強みか、岩城監督の意向が十分組み入れられた結果なんでしょうね。石川県立音楽堂の場合は音楽を聴く前後でも、いい時間が過ごせるように工夫されていると感じました。何よりも金沢駅のすぐそばというのも大きな利点ですよね。

さて、肝心のホールの音響のことに移ります。聴いた席が1階の右端でボックス席のような感じ(頭の上は天井)になっていましたので、他の席で聴くとまた少しは印象が異なるかもしれません。ただ、開演前にいろいろな席へ行って、わざと咳をしてどう響くか見て回りましたので、その時にも感じたことを書き込みます。

私は、ハーモニーホールの残響は割と短く感じました。咳をしてもそんなに響かない、拍手をしてもこれまた響いていない。今日は湿気が多いせいもあったかもしれませんが、石川県立音楽堂の方がずっと豊かな響きだと思いました。オーケストラの実力にもよるでしょうが、ハーモニーホールは透明でまっすぐ音色(すみません、聴いている時に思った言葉を忘れました)のような気がします。

最後に本日のブーレーズ指揮ロンドン交響楽団の演奏ですが、さすが伝統あるオーケストラの演奏だと思いました。見事なアンサンブルで、大編成にもかかわらず弱音の表現が見事でした。それと特に印象深かったのが金管の音です。昔確かトランペットにフリップ・ジョーンズという人がいて、その人が結成したフリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルのイメージがあるせいかもしれませんが、ロンドン交響楽団の金管の音色は他のオケにはない独特なものがあるような気がします。それと、もう少しで書き忘れるところでしたが、指揮のブーレーズさんは全曲指揮棒なしで演奏しました。あれだけの大編成にもかかわらず、ストラヴィンスキーの曲を棒なしで振り、オーケストラのアンサンブルが見事に合うのには、感嘆の一言です。

ロンドン交響楽団は前も福井に来たとのことですが、今度は福井だけでなく、ぜひ石川県立音楽堂で演奏してもらいたいです。(2002/10/28)