オータム・ミニコンサート
2002/11/01 梅光会(金沢市石引)

モーツァルト/セレナード第13番ト長調,K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」~第1楽章
ワーク/大きな古時計
木村弓/映画「千と千尋の神隠し」~「いつも何度でも」
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第6番変ロ長調,op.18-6
ショスタコーヴィッチ/弦楽四重奏曲第8番,op.110
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第9番ハ長調,op.59-3「ラズモフスキー第3番」
●演奏
坂本久仁雄,櫻井凉子(Vn),石黒靖典(Vla),大澤明(Vc)
Review by六兼屋さん
今晩、石引の梅光会で行われた「オータムミニコンサート」に出かけてきました。梅光会というのは、身寄りのない子供達の為の施設と保育園を経営する社会福祉法人です。同時に学童保育とかいろいろな地域の児童福祉の営みをなさってます。

今年の始めだったか、体育館が竣工し、こういう催し物も出来るようになったようです。アンサンブル金沢の方々をお呼びするという企画で、ヴァイオリンが坂本久仁雄、櫻井凉子、ヴィオラが石黒靖典、チェロが大澤明の4名を招き、弦楽四重奏を聴くことになりました(サンライズSQとはもちろん違うし、このメンバーがいつもSQを組んでいるのかどうかは知りません)。

最初に、モーツァルトのセレナーデ・アイネ・クライネ・ナハトムジークの第1楽章、「大きな古時計」、映画『千と千尋の神隠し』より『いつも何度でも』の3曲を保育園児をも聴衆に交えて演奏、後2曲では子供達も一緒に歌いました。園児が退場した後、大人向きのコンサートに切り替わります。

ベートーヴェンの作品18-6、これはまだ若い頃の作品ですけど、当時の先輩作曲家の弦楽四重奏と比べれば、随分凝った曲ですが、それを丁寧に演奏していました。それから休憩前の最後として、ショスタコーヴィッチの「ファシズムと戦争の犠牲者に捧げる」と副題のついた作品番号110の弦楽四重奏曲。チェロの大澤さんは「冬の北陸の空のような曲」と例えたので、聴いた人は皆、作曲者がつけた「?犠牲者に捧げる」という副題とあわせて、そういう曲なんだ、と覚悟して聴きました。演奏が終わり、深い沈黙がしばらく続いた後に、曲に対する共感が篤い拍手となって、体育館にこだましました。

ここで休憩となったのですが、音楽を聴くこととしてはもうお腹いっぱいで、この後はボロディンのノクターンか何かをアンコールとして弾いてくれれば、それで十分だと思いましたが、ラズモフスキーの第3番がメインプログラムに控えていました。ミニコンサートと銘打っているのになあ、と思いました。プログラム前半を聴いて、後半は更に真剣な取り組みになるであろうと思えば、聞き逃したくはなかったのです。にもかかわらず、私は、子供がもう我慢できない、と言い張ったので、後ろ髪を引かれる思いで、会場を後にしました。

大澤さん達、またOEKの他のメンバーもこういう企画に時々参加なさっているようです。是非また聴きたいと願っています。(2002/11/02)