ザ・サンライズ・クワルテット室内楽の夕べ
2004/01/19 金沢市アートホール
1)モーツァルト/弦楽四重奏曲第21番ニ長調K.575「プロシア王第1番」
2)シューベルト/弦楽四重奏曲第14番ニ短調D.810「死と乙女」
●演奏
ザ・サンライズ・クワルテット(マイケル・ダウス,坂本久仁雄(ヴァイオリン),石黒靖典(ヴィオラ),大澤明(チェロ))
Review by七尾の住人さん

石川県立音楽堂が出来てOEKを聴き、それからすっかりOEKのファンとなったわけだが、定期公演以外に楽しみにしているコンサートがある。その一つが、今回の「ザ・サンライズ・クヮルテット」である。場所も室内楽にはぴったりのアートホールだけあって、いやが上にも期待は高まる。

果たして、期待通り十分楽しめるコンサートとなった。開演間近に会場に着き、少し慌ただしく座席に着いたが、まだステージの扉は閉められたまま。反射板越しにヴァイオリンの奏でる旋律が聞こえてくる。初めて聞く旋律でどの曲か分からない。期待が膨らみ四人の登場を待つ。

しばらくして前半のプログラムが始まった。さっきの反射板越しに聞こえてたのが、このモーツァルトの「プロシア王第1番」だと分かる。曲に関して全く知識がないが、昔の貴族はこういう優雅な曲を楽しんでいたのだろうと容易に想像がつく。

後半のプログラム、シューベルトの「死と乙女」に関しても知識がない。しかし、たとえ知識がなくとも四人の演奏が十分体の中に染み込んでくる。「音」という空間の中に浸ってとても心地よい。生の演奏でしか味わえない素晴らしい音が溢れている。四人しかいない演奏だが、オーケストラのように響き渡る時もあり改めてその表現力には舌を巻く。 気がつけば、あっという間にプログラムが終わってしまった。満足した自分の顔には、自然と笑みが浮かんでくる。カーテンコールに何度も応える四人。いつ終わるか分からない拍手に、ダウスさんが額の汗を拭う素振りを見せてこれで終わりだと知る。

コンサートの余韻に浸りながらホールを、そして金沢を後にした。(2004/01/20)