オーケストラ・アンサンブル金沢 小松定期“春”公演
2004/04/17 こまつ芸術劇場うらら大ホール
1)外山雄三/管弦楽のためのディヴェルティメント
2)プロコフィエフ/古典交響曲ニ長調op.25
3)ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調op.55「英雄」
4)(アンコール)斉藤高順/今様
●演奏
岩城宏之指揮オーケストラ・アンサンブル金沢
Review by みやっちさん

3月に新しくオープンしたばかりのこまつ芸術劇場うららにて、OEKヨーロッパ公演にむけて最後となる演奏会に足を運びました。会場は県立音楽堂邦楽ホールより空間的に少し広めの和風的なホールで、演奏者の表情が2階席からもよく見える席で聴きました。

この日の演奏はいずれもOEK得意の18番が目白押しで、最初の外山雄三「管弦楽のディヴェルティメント」では、日本古来の節回しを盛り込んだオーケストラの音色が尺八や横笛のように鳴り響いてきて、繊細で緊迫した寂寥感や力強い音の響きから勇壮な高揚感が漂ってきました。特に第2楽章の静かな弱音で奏でられた弦楽器は美しく陶酔感のある音色で素晴らしかったです。

続いてプロコフィエフ「古典交響曲」では、小気味よいリズムを伴った音色の変化が色とりどりに散りばめられ、弦のピチカートなどいろいろな奏法を取り入れた古典的な響きから20世紀の響きへとつながっていく斬新さを実に鮮やか明快に弾ききった演奏でした。

後半はいよいよメインプロのベートーヴェン「英雄交響曲」で、私が初めてOEK定期を聴いた時の思い出の一曲です。第1楽章では徐々に力強い響きを伴っていく気力みなぎる演奏で始まり、一音一音がしっかりと響いてきました。第2楽章の中間部の盛り上がりでは、感極まるぐらいに荘厳な雰囲気がオーケストラから一体となって溢れ出し、第4楽章でも金沢の英雄たちがヨーロッパに乗り込んでいく凄まじい気迫がひしひしと伝わってくる高揚感がありました。

アンコールの斉藤高順「今様」では、弦楽アンサンブルの見事な美しい音色の響きが余韻を惹きたて、この日は私が今まで聴いたOEKの演奏でも最高の音楽を奏でていました。

帰りの電車ではOEK団員と同じ車両に乗り合わせになったのですが、これからヨーロッパへの長い旅立ちを控え、かなりリラックスしている雰囲気がとても印象的でした。この日の充実した演奏をそのままヨーロッパの人たちにも届けられるように、OEKの皆さんぜひがんばってきてください。(2004/04/18)