大阪センチュリー交響楽団第94回定期演奏会
2004/06/05 ザ・シンフォニーホール(大阪市)

モーツアルト/交響曲第41番ハ長調,K.551「ジュピター」
シュトラウス,R./交響詩「ドン・ファン」op.20
シュトラウス,R/交響詩「ティル・オイレン・シュピーゲルの愉快ないたずら」op.28
●演奏
小泉和裕指揮大阪センチュリー交響楽団,オーケストラ・アンサンブル金沢
Review byねこさん

大阪センチュリー交響楽団では定期会員向けのサービスのひとつとして各シーズンに1度のゲネプロ公開があります。今シーズンのシンフォニー定期はこの合同公演のゲネプロが公開されました。たいてい平日の3時から、などというスケジュールでせっかくのゲネ公開も行けないことが多かったのですが、今回は土曜日の11時半からということでたくさんの会員がゲネを見に訪れていました。会員に公開されたのは前半の1時間で、モーツァルトとドンファンの練習が行われました。

いつもは2階席で聴くのですが、ゲネのときは1階席だったので、モーツァルトから弦楽器の分厚い響きがズン!と迫ってくる感じでびっくりしました。センチュリーの普段の編成に弦楽器を1プルトずつ加えた編成(6−5−4−4−3)だったのですが、OEKのメンバーが半分加わるといつもの3割増くらいに聴こえます。 モーツァルトは全部通すことはせずに各楽章の要所を何箇所か拾ってササッと確認する、という感じの練習でした。続いてドン・ファンは最初から最後まで通して聴かせてくれて、演奏が終ると思わず拍手をした人もいました。OEKの渡辺さんがシンバルを担当されていたのですが、指揮者の小泉さんから「もっとお客さんによく見えるように高い位置で派手に鳴らすように」といった指示が出ていました。小柄な方なので見えにくいということもあるのでしょうね。渡辺さんはこんな感じ?といろいろやってみて本番では思いっきり格好よく鳴らしておられました。

そして迎えた本番。プログラム最初のモーツアルト41番は弦楽器のアウトの席(お客様側の席で上席)に金沢のメンバーが座り、コンマス、管打楽器がすべて金沢組、というやり方でした。1プルト増えただけなのに弦の響きがとても豊かになって、これほど聴きなれた曲でもピアニシモからフォルテに移る部分などハッとさせられるようなダイナミクスの差が感じられてとても新鮮な感じがしました。ピアニシモの細かい動きでもすこしの乱れも感じられなかったのはさすがアンサンブルを得意とするこのふたつのオーケストラのメンバーたちです。

休憩をはさんでドン・ファンとティルでしたが、この2曲はそれこそもう大編成の醍醐味、分厚い響きを心から堪能することができました。今度はセンチュリーのメンバーが弦楽器のアウトに座り、コンマスと管打楽器の1、2番奏者はセンチュリー、3、4番およびアシスタントを金沢が勤める形です。

弦楽器は総出演で第1バイオリンから9−8−5−5−3という編成。バイオリンパートの17プルト34名というのは大フィルよりも大きな数で、2階席から見ているとこれだけの数の弓がダイナミックに動くさまは本当に壮観というしかありません。バイオリンに比べて低弦がすこし薄い編成ではあったのですが、そんなことはすこしも感じさせないみごとな演奏でした。管楽器の4管編成とあわせてホールを揺るがすような壮大な響きを味わうことができました。
 
自分がバイオリンをやっているのでついついそこを中心に見てしまうのですが、今回ふたりのコンサートマスターが並んだファーストバイオリンの第1プルトは大変おもしろい光景でした。センチュリーのコンマス、ナンドール・セデルケニさんはハンガリーの方でとても「熱い」演奏をされる方です。一方金沢のサイモン・ブレンディスさんはイギリスの方だそうで、ナンドールさんに比べると「冷静沈着」という感じでその対比がとてもおもしろく感じられました。

センチュリー定期ではいつも男性は燕尾服に白の蝶ネクタイ、女性は黒の上下という衣装です。そこに今回加わったOEKの奏者たちは男性は黒のタキシードに黒の蝶ネクタイ、女性はあの美しいカラードレスといういでたちで、服装を見ればどちらのメンバーであるかがわかるようになっていました。OEKの女性たちのあのドレス、モノトーンのステージ上のあちこちに花が咲いたようで本当にすてきでした。

演奏の後にはまず全員を立たせて拍手を受けたあと、今度はOEKのメンバーだけを立たせて演奏を称える場面があり、私も心から金沢の皆さんにエールをおくらせていただきました。今回の合同演奏は4回目だそうですが、15年の間に4回ですから決して多いわけではありませんね。次はいつになるかわかりませんが、また機会があればぜひ聴いてみたいものです。(2004/06/07)