いしかわミュージックアカデミー&炎太鼓
金沢城を背景にした和と洋のコラボレーションステージ
2004/08/27 金沢城公園特設ステージ

第1部:いしかわミュージックアカデミー受講生によるクラシックの調べ
1)モーツァルト/セレナード第13番 ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」〜第1楽章
2)バッハ,J.S./G線上のアリア
3)ジョップリン/メープルリーフ・ラグ
4)マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
5)ドヴォルジャーク/弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 Op.96「アメリカ」〜第4楽章
6)ヴィヴァルディ/四季 Op.8
●演奏
原田幸一郎指揮いしかわミュージック・アカデミー学生オーケストラ(1,2,6)
(独奏ヴァイオリン*6:鈴木愛里(日本),「夏」オードレー・ガレ(ベルギー)、「秋」ミン・ジョンス(韓国)、「冬」ユー・ジュアン(中国))
石亀協子,岡部磨知(ヴァイオリン*3-5),景澤恵子(ヴィオラ*3-5),新倉瞳(チェロ*3-5)

第2部:炎太鼓の響き
1)花火
2)萌
3)饗宴
4)日本海
5)祈り〜百花の乱
6)アンコール1曲
●演奏
炎太鼓(地下朱美、山本綾乃、木下千恵子)

Review byみやっちさん

いしかわミュージックアカデミー(IMA)もいよいよクライマックスになり、今回はライトアップされた金沢城や月夜に照らし出されるクラシックと和太鼓の響きを一夜で堪能できる、金沢城公園での野外コンサートを楽しんできました。

第1部はIMA受講生によるコンサートで、モーツァルトのすがすがしい溌剌としたセレナードで幕を開け、私の一番好きな曲G線上のアリアでは美しくしっとりした響きで奥行きの深い慈しむような音色を見事に奏でていました。

この日の学生オーケストラは第1ヴァイオリン4人、第2ヴァイオリン3人、ヴィオラ3人、チェロ4人、コントラバス1人の小編成で、野外ということで音は音響設備を通してでした。屋根をビニールで張った小さなテントをのせたステージ上で、楽譜がめくれてしまう風が吹きつける悪条件の中でも、受講の成果をいかんなく披露した大変立派な演奏でした。

続いての女性だけのカルテットによる弦楽四重奏では、ジョップリンのジャズ風の軽快な音楽、マスカーニの場面情景を描写した哀しげな切ない調べ、ドヴォルジャークの切れ味のいい息の合った弦楽四重奏の魅力を存分に奏でていました。白いドレスで着飾った美しいミューズ達は容姿もさることながら、極めて質の良い音楽で魅了してくれました。

再び弦楽オーケストラの登場によるチェンバロも加わったヴィヴァルディの四季では、楽章ごとにヴァイオリンソロが変わる構成で演奏されました。トップバッター・鈴木さんのさわやかな「春」、ガレさんの激しい「夏」、ミンさんのしっとりとした「秋」、ユーさんの厳しい「冬」と出身国の異なるソリストによって、国際的な彩りのある四季の移ろいを物怖じしない伸びやかな音色で奏でていました。

2年前にも金沢城公園で千住真理子&OEKによるヴィヴァルディ「春」を聴いたことがあるのですが、全曲通して聴くのは初めてでした。楽章ごとに温かい拍手に包まれながら、あたりから聴こえてくる秋を告げる虫の鳴き声と溶け合う「四季」は格別の感があり、心地よい自然とクラシック音楽が調和する幻想的な世界へと誘ってくれました。

さて後半第2部では国際的な活動を展開する石川県の女性和太鼓集団・炎太鼓がいよいよ登場しました。筋肉で鍛え上げられたスピード感あふれる力強いバチさばきで、体の芯から染みるズシリとした音の響きの凄まじさやテンポの良い切れ味のよさに魅了されました。そして溜めを作った気合いの掛け声で打ち鳴らされる魂の響きから異空間に吸い込まれるような勇ましい女性3人の和太鼓による音の饗宴に終始圧倒されました。

炎太鼓の演奏も2年前の夏、同じく金沢城公園で聴いたのですが、夏はやっぱり太鼓の音に限りますね〜。芝生席にくつろぎながら、金沢城をバックに日本古来の迫力に満ちた響きを聴いているだけで気分爽快になりました。

アンコールではリーダーの地下さんを中心に観客と一体となった3拍子「ソーレ、ソレ、ソレ」の合言葉と手拍子で盛り上がりは最高潮に達しました。炎太鼓のライヴは3夜連続の初日ということで、炎太鼓の御三方はまだまだ余力十分、残り2日間も素晴らしい熱演で盛り上がりそうです。)(2004/08/30)