オーケストラ・アンサンブル金沢第169回定期公演PH
2004/10/15 石川県立音楽堂コンサートホール

1)ペルト/フラトレス
2)スメラ/弦楽と打楽器のためのシンフォーネー
3)池辺晋一郎/悲しみの森:オーケストラのために
4)ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61(カデンツァ:シュニトケ作曲)
5)(アンコール)編曲者不明/ラブ・ミー・テンダー
●演奏
岩城宏之指揮オーケストラ・アンサンンブル金沢(コンサートマスター:アビゲイル・ヤング)(3-5),クレメラータ・バルティカ(1-2,4-5)
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン*1,4,5)
響敏也(プレトーク)
Review by 管理人hs
i3miuraさんの感想CKOさんの感想川崎(富山在住)さんの感想

現在,恐らく世界で最も有名で最も独創的な演奏活動を行っているヴァイオリニスト,ギドン・クレーメルさんが石川県立音楽堂に再登場しました。今回は彼の率いるクレメラータ・バルティカ(KB)とオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)との合同演奏会でした。クレーメルさんが音楽堂に最初に登場するはずだった2002年9月の公演をキャンセルされた時には「ご縁がなかったのか...」と少々がっかりしたのですが,2003年5月にOEKとの共演が実現して以来,かえって金沢とのつながりが大きくなったようで,今回は定期公演への登場ということになりました。

今回注目されるのは,ラトヴィア出身のクレーメルさんが近年その活動に力を入れているクレメラータ・バルティカが音楽堂に初登場することです。この団体はバルト3国(エストニア,ラトヴィア,リトアニア)出身の若手による弦楽合奏団です。ユーラシア大陸の西と東の違いはありますが,バルト海と日本海という北側に広がる海に向かう地域にある室内オーケストラということでKBとOEKには共通する要素があるような気がします(「バルト三国」「北陸三県」というゴロも似ている?)。それぞれの地域の同時代の音楽の演奏に力を入れている点と音楽の中央集権化に反発している点も共通します。今回の日本ツァーの初日も金沢なのですが,今後,石川県立音楽堂はKBの日本での活動の拠点として使われることになるとのことです。

というようなわけで,今回の合同演奏会のプログラミングもそのことを反映した構成となりました。まず,KBだけでエストニアの作曲家の曲が2曲演奏され,続いてOEKだけで日本人作曲家の曲が演奏されました。後半は合同演奏となり,それぞれの団体の代表である岩城さんとクレーメルさんがそれぞれ指揮と独奏を務めました。大変良くできたプログラミングだと思いました。特に最後の合同演奏で演奏されたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は,クレーメルさんの本領の発揮された素晴らしい演奏だったと思います。

前半の現代曲中心のプログラムの方は,一体どういう曲が出てくるのか?という期待半分,不安半分という感じだったのですが,前回の定期公演の時のアウエルバッハさんの曲同様,比較的聞きやすい曲でした。「現代音楽=難解」という時代も終わりつつあるようです。

最初に演奏されたペルトの曲は特に聞きやすいものでした。この曲は現代曲の中でも比較的良く演奏されている曲で,CDなども複数出ています。いろいろな編成で演奏される曲ですが,今回はヴァイオリン独奏+弦楽合奏+打楽器という編成で演奏されました。KBの人数はOEKの弦楽セクションの人数とほぼ同数でした。それに打楽器奏者が1人加わった編成でした。クレーメルさんがステージの真ん中に立って「弾き振り」の形で演奏されました。

曲はクレーメルさんの独奏で始まります。弱音の速い音の動きをもったパッセージが繰り返されるのですが,この音の粒が見事に揃っていました。ペルトの作風は「反復」がキーワードになっているのですが,さすがペルトの曲を積極的に取り上げてきたクレーメルさんだな,と思いました。続いて出てくる弦楽合奏の方も同様にきっちり揃ったものでした。こちらも反復が続くうちに,クールな気持ち良さが広がってきます。中間部ではたっぷりとした弦楽器の音が印象的に出てきます。そういう部分でも甘くなり過ぎず,逆に荘重な気分になってくるところが面白い点です。所々で出てくる打楽器の音も不思議なアクセントになっていました。聞きやすい曲なのにどこか切実さを持ったところがあるのはペルトの特徴なのかもしれません。タイトルと音楽の雰囲気の関係についてはよく分からなかったのですが(「フラトレス」というのは「兄弟」「仲間」という意味とのことです。"Brother"と同じ語源?),これを機会にペルトの曲をいくつか聞いてみたいと思いました。

次のスメラの曲では,クレーメルさんは引っ込み,指揮者なしでの演奏となりました。編成自体は先ほどと全く同じです。このスメラという作曲家はペルトほどは知られていませんが,CDなどはいくつか出ているようです。こちらも面白い曲でしたが,ペルトの曲と対照的にダイナミックでシンフォニックな気分があるのが特徴的でした。交響曲と区別する意味で”シンフォーネー”というギリシャ語を使ったとのことですが,3つの違った雰囲気の部分から成っていましたので,全体的としては古典的な気分がありました。

古典的といっても,曲の始まり方は衝撃的でした。弦の不協和音の上に打楽器が加わり(何かグルグル回して音を出していました),前衛的で暴力的な気分で曲は始まりました。ただし,すぐに規則的なリズムが出てきて,快適な”ノリ”を作り出します。一気に曲の世界に引き込んでくれるような印象的な出だしでした。中間部は神秘的な感じになった後,また激しい雰囲気になって曲は終わります。古典的な構成ながら急激に曲想が交替する感じは,先日の定期公演で聞いたアウエルバッハさんの曲にも通じるところがあると思いました。途中,精緻で複雑な音の動きが繰り返し出てくる辺りには,OEKの得意とする西村朗さんの曲とも似たところもありました。

KBの演奏で聞いた2曲はどちらも聞きやすいけれども現代的な新鮮なセンスとキレの良さのある曲でした。KBの演奏も曲想にぴったりででした。この曲に対し,客席からは盛大が拍手がありました。KBのメンバーはそれに対し,全員同時に会釈をしていました(数年前に行われた,やはり”指揮者なし”のオルフェウス室内管弦楽団の公演の時もそうでした)。

3曲目にはOEKが登場しました。OEKの編成には管楽器を含んでいますので,視覚的には「OEKはオーケストラ,KBは室内楽の延長」という印象を持ちました。今回演奏された池辺さんの曲は,OEKの委嘱作品で,定期公演で演奏されるのは,3回目になると思います。弦楽合奏の後で聞くと,管楽器の鮮やかで鋭い音と苦しげな音の動きが特に印象的なのですが,個人的には,この曲は3回聞いても好きになれません。KBの演奏した2曲に比べると,曲想に変化がないような気がします。この辺は好みの問題なので仕方のない点です。ちなみにこの曲ですが,以前演奏されたときもベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲との組み合わせでした(アッカルドさんが登場した時です)。何かプログラミング上の意図があったのかもしれませんが,よくわかりませんでした。

後半は合同演奏となりました。合同演奏といっても,管楽器メンバーはOEKのみで,弦楽器だけ通常の2倍になったような編成でしたので,通常のフル編成オーケストラぐらいの感じでした。大阪センチュリー交響楽団とのモーツァルトの「ジュピター」の合同演奏の様子を先日テレビで放送していましたが,それと同様の人数でした。

とはいっても,OEK単独で聞く場合より,スケールの大きさを感じさせてくれ部分がいくつかありました。第1楽章第2主題が出てくる前に激しく盛り上がる部分があるのですが,その部分でいつも岩城さんは,ビシっと音を切ります。そういった部分をヴァイオリンが出てくるまでの呈示部は大変聞き応えのある堂々としたものになっていました。全曲に渡りティンパニ(KBの方かOEKのエキストラか分からなかったのですが)の重く堅い音も印象的でした。

オーケストラのみによる呈示部の後半からクレーメルさんは弾き始めていましたが,ヴァイオリン独奏が入ってくると完全にクレーメルさんの世界になりました。前回のOEKとの共演では,ブラームスの二重協奏曲などを演奏していますが,今回のベートーヴェンで初めてその”物凄さ”を発揮されたような気がしました。

クレーメルさんの音にはすべての音に意味と魂がこもっているような感じで非常に密度の高い演奏でした。音程がピタリと決まっており,どの音域もスリムに引き締まったモノトーンな感じの音色なので,甘く酔わせる感じにはならず,全体的にストイックな気分があります。音がただ流れて行くところはなく,常に何かを語っているようです。それでいてクレーメルさんの作る音楽は自然でさり気なく,クレーメルさんの身体の中から音楽が溢れ出てくるような豊かさを感じさせてくれます。ストイックな音色の中から伝わってくるイマジネーションの豊かさというのがクレーメルさんだけの持つ魅力だと思います。そのストイックさの一方,時折テンポをじっくりと落とし,聞き手の心を激しく揺さぶるような情感が出てくるところがあります。悪魔的な感じと天使的な感じが交互に出てくるような不思議な魅力を感じさせてくれます。

第2楽章はエロティックな世界を感じさせるものでした。非常にデリケートに音量が抑えられた伴奏の上に,ねっとりと音をつないで行く感じには独特のムードがありました。岩城さん指揮のオーケストラは,このクレーメルの世界に本当によく付けていました。

今回の演奏では,シュニトケ作によるカデンツァも聞きどころの一つでした。ずっと以前,FM放送でクレーメルさんの独奏でこの曲を聞いたことがあるのですが(私が中学生の頃,この演奏をカセットテープに録音して聞いていました。クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団との共演で,ザルツブルク音楽祭でのライブ録音でした。),その時の演奏でもシュニトケのカデンツァを使っていました。恐らく,「クレーメル独奏のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲」と言えば,「シュニトケのカデンツァ」と条件反射的に答える人も多いのではないかと思います。このカデンツァを生で聴け,(大げさに言うと)長年の念願がかなったような気分です。

期待どおり非常に独創的なものでした。ティンパニが入ったり,ブラームスのヴァイオリン協奏曲の一節が入ったりする第1楽章のカデンツァの方は聞き覚えがあったのですが,第3楽章のカデンツァの方にはあれだけオーケストラが入るとは思いませんでした。第1ヴァイオリンがマントヴァーニ・オーケストラか何かのように微妙に音をずらして不思議な効果(カスケード・サウンド?)を出していました。最後にティンパニが強烈な一撃を加えていましたが,こういうルール違反(?)のカデンツァは後にも先にもこれだけかもしれません。その他,第2楽章から第3楽章に移る部分のヴァイオリンのアインガンクも通常よりもかなり長くなっていました。

第3楽章の不思議なカデンツァには悪魔的な気分が漂っていましたので,その後に出てくる通常の部分が非常に清らかに響きました。シュニトケの音楽は,ベートーヴェンとはどうみても異質なのですが,クレーメルさんが演奏するとそれほど違和感なく音楽がつながるのが面白いところです(違和感はあるけれども,「クレーメルさんならありor許せる」と書いた方が正確かもしれません)。結果として,先ほども書いたとおり,悪魔的な感じと天使的で牧歌的な感じとが同居するオリジナリティあふれるベートーヴェンになっていたと思います。異質なものを敢えて紛れ込ますことで,逆にそれを飲み込んでくれるベートーヴェンの音楽の持つ懐の深さを感じさせてくれました。そのことは岩城さんとOEK+KBの作る伴奏にも言えたと思います。

盛大な拍手に応えて演奏されたのが,何とラブ・ミー・テンダーでした(エルヴィス・プレスリーの歌っていたあのラブ・ミー・テンダーです)。最初は断片的に「そうかな」と思わせ,途中でマントヴァーニ風に思い切り甘くラブ・ミー・テンダーになってきました。この演奏では,先ほどティンパニを叩いていた方がマリンバ(?)を演奏していました,両手で4本のマレットを持って器用に演奏していたのが印象的でした。この選曲の意外性も「クレーメルさんならあり」という感じでした。この演奏については編曲者についての情報も知りたかったところです。

今回,KBとOEKが混ざっていたのですが(OEKが主席奏者を務めていました。弦楽器の各プルトのお隣さんが”OEK-KB”となるような配置だったようです),この雰囲気も全然違和感がありませんでした。OEKにはもともと外国人が多いせいもあると思いますが,先ほど書いたような”共通性”もその理由の一つだと思います。KBは,今後石川県立音楽堂で演奏を行う機会が増えてくると思いますが,ペルト,スメラといったバルト海沿岸出身の作曲家の作品の紹介をしてくれると同時に今回のような"似たもの同志”による合同演奏会を行っていって欲しいものです。 (2004/10/16)

Review by レイトリーさん

今日は十分元を取らせていただきました。なんと会員券が安いことか!。クレーメルさんのすばらしさもですが、クレメラータ・バルティカの最初を聴き 大いにOEKとの合同演奏を期待したのです。そして最高の音をプレゼントしていただきました。音楽堂を彼らの日本でのフランチャイズとし、年に何回かOEKと合体する、なんて いかがでしょう きっと全国からフアンを呼べますよ!! 最高でした。 ありがとうございました。 (2004/10/16)

Review by taka@踏氷舎さん
クレメラータ・バルティカは素晴らしい音を聴かせてくれましたね。クレーメルさんの円熟の音も堪能しました。特にシュニトケによるカデンツァは初めて聴きましたが、実に面白いものでした。

毎年恒例の合同演奏の時にはOEKはいつにも増して「燃える」というか、意気込みが違うような気がします。

本当に得をした気分になって帰ってきました。明日の日曜日には御招待券を握り締めてクレメラータ・バルティカの演奏会に行こうと思っています。(2004/10/16)

Review by i3miuraさん

今回の演奏会は、個人的には数あるOEKの演奏会の中でも最高の部類に入る会だったと思います。

やはりクレーメルのような世界最高水準の演奏家が2年続けて来てくれるというのは、演奏される方にとっても、僕たち聴く側にとってもいい刺激になるのだと思います。

それにしても、シュニトケ作のカデンツァといい、アンコールの Love Me Tender といい、いい意味で外してくれた、楽しい演奏会でした。

次は明日の演奏会ですね〜。楽しい週末になりそうです。(2004/10/16)

Review by CKOさん
はじめまして 
音楽堂にいくのもはじめて OEKもはじめて
もちろんクレーメルさんを生できくのもはじめてでした
もちろんおめあては ベートーベンでしたが
最初の3曲もそれぞれ楽しく興味深い曲 演奏でした

シュトニケのカデンツァもふくめて
いい演奏にあたると ベートーベンはこんなにも楽しくなるという
ほんとに素敵な演奏でした
ぼくにとっては以前 池袋でみたブリュッヘンの第9以来のことです

またVn協奏曲をみるのは はじめてだったので
伴奏部分もクレーメルさんが弾いているのをみれたのが
興味深かったです

終了後 日曜日のチケットを買い また現代のパガニーニを聞きにいきます
(2004/10/16)

Review by 川崎(富山在住)さん
ペルトの「フラクレス」。ヴァイオリン・ソロでのスタート。ワニャワニャの反復、穏やかさが優先のミニマル・ミュージック風。音楽を仕切るリズムのパルスは表面化せず、ゆえにメロディーの過剰な刷り込みはなし。次にオーケストラ全体での静謐さ。音楽の繊細さ、調和されたバランス、心の安らぎ。そしてステージ一面のワニャワニャ感。野原をそよぐ風、そんなワンシーン。心なごむ癒し系音楽、懐かしさのホッと感。さらに深みを増して敬虔な気持が心を確りと捉えるあたかも雅楽か能舞台を連想させる拍子木的仕切りが印象的。「フラクレス」、当初の予定になかった追加の曲目。クレーメルさん、イキイキハツラツ。話し慣れた自分の言葉の様に淀みなく饒舌、無理なく作曲家と自分を同一化。ペルトさん、クレーメルさんで「タブラ・ラサ」のレコード、グリモーさんで「クレド」のCDを聴いている。共通している荘厳な教会音楽。今回の曲には「クレド」にみられる既製の観念を覆す劇的な改変はみられない。「フラクレス」のレコードも持っていて聴いているはず、覚えていないが。今来日しているレーピンさんもプログラムに採り上げている。彼ならどう演奏するのかしら。

スメラの「弦楽と打楽器のためのシンフォーネー」。指揮者クレーメルさんを待つ、不在のまま唐突で不意打ちの始まり。劈き(つんざき)、不連続な断面。躍動への序章、前向き期待のワクワク感。再び、最初のフラッシュバック、今度は不協和音のブロック攻撃。そしてオリジナルな音の連なり。何百枚もの鏡、個々に角度を変え反転・回転、規則性。ある瞬間、特徴的な光と輝きを放つ。メロディアスでわかりやすい音楽がベース。雑然と整然との行き来、穏便とですまない問題意識。ツンツンした表情が時折顔を出す、一つの人生を暗示。大きなウネリ、クライマックス。この小管弦楽団、クレーメルさんのミュータント集団。同じ耳と同じココロで、音楽を勢一杯表現。成長のためか以前ほど100%のコピー性は感じない、自主性の尊重。主催者から音楽を楽しむ大きなキモチと自国の作曲家に誇りを持つことを学んでいる様。ステージの裏にクレーメルさんがいること、彼らも私らも知っている、大丈夫、大丈夫と無意識の安堵。

池辺さんの「悲しみの森」、まとまったキレイサ、真面目で丁寧。ハチャメチャなし、メロディーのシッポの跳ね方も驚きの突拍子さもない。優等生の音楽、日本人らしい匂い、ペルトさんとスメラさんの後だから。日本人の中でなら、コレだけが現代音楽なら、事情、感想が変わったのかも知れない。ゆったりと穏やか、ギラギラするエネルギーを感じない。ネガティヴ・ファクターの悲しいという強い感情はなし、日本人的慎み深さなのか。

ベートーベンの「ヴァイオリン協奏曲」。ヴァイオリニスト、天性の音楽師の面目躍如。オーケストラの状況を見極め、その場その場を察知しての瞬間芸術。単に合わせてナンボのコンチェルトでなく、自分の音楽を創造してオーケストラに乗せて加えて歌っていく。ためらいや曖昧さがなく踏み込みよく、格調あるカラオケオジサンのノリ。でも、仕上がりは最高級のオリジナル音楽、非の打ち所なし。細やかで柔らかい表情付け、語りかけ。キレイな美音でないが、研ぎ澄まされた神経で創り出す音、作曲家の音楽に自分の思いを託す。曲そのものが表情の少ないオーケストラの中で元気に歌い続ける60分、総てジャスト・フィットの感情を込め。スゴイ音楽、たまらない素適さ、ゾクソクする戦慄、幸福感。シュニトケ・ヴァージョンのカデンツア、現代音楽やオケや打楽器まで付加されたもの。聞いてはいたが新奇性にビックリ。現代音楽を別物視としていないクレーメルさんだから出来ること。改めて演奏家のとてつもない音楽性に感嘆する。いずれにせよ、クレーメルさんでこの曲を聴く機会はもうないと思い大切に聴かせてもらった。感謝。
(2004/10/16)